医療マネジメント学会雑誌
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インシデントレポート電子入力化の効果
高橋 勇二小澤 幸子村木 ゆかり山本 功二
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2005 年 6 巻 2 号 p. 449-452

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抄録
医療のリスクマネジメントにおける情報収集のひとつの方法が, インシデントレポートである.2002年度までは, 看護部がヒヤリ・ハット報告書を紙面で収集していたが, 2003年6月から, インシデントレポートを院内端末から電子入力するシステムを稼働させ, 対象も全職種に拡大したので, その効果について報告する. 2002年7月-12月の看護部のヒヤリ・ハット報告書と, 2003年7月~12月のインシデントレポートの集計を比較・検討した.電子入力化の効果としては, 1) 報告数が1367件から2177件と約1.5倍に増加した. 2) 報告職種が増え, 報告内容は多様化した.しかし報告職種の内訳は, 看護職が86.0%を占め, 医師・事務系・薬剤師からのレポートが少ない傾向があった. 3) 入力から分析・対応までが迅速化した. 27名の多職種からなるインシデントレポート検討委員会を立ち上げたことによって, 毎月350-400件のレポートの全てがチェックされるため, 対応が1カ月以内にとられることとなった. 今後の課題は, 収集した情報と対応策を全職員に向けて発信し, 院内全体の安全文化の醸成に寄与することと, 委員会が対応した事例のその後の効果を検証することである.
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