抄録
滅菌不良が生じた場合には, リコール (滅菌不良と思われる物の回収) を速やかに行う必要がある. リコールが適切に行なわれることがリスク管理上重要となるが, リコールに関する行動実態についての報告はほとんどされていない. リコールにあたっては, 回収先の場所, 回収する器材の断定, 関連部署との連携, 回収状況など, さまざまな問題が浮上することが予想される. このような背景を鑑みて, 当院では初めて滅菌不良の発生を想定したリコール予行演習を試みた.
調査項目としては, a.リコールまでの時間調査, b.リコール対象物品の使用状況, c.代替としての使用可能物品の数量調査, d.リコール対象物品回収後, 再包装, 再滅菌するまでに必要な時間調査, e.リコール報告書作成までの時間調査, f.中央材料室日常業務への影響度, とした.予行演習を行うことで, 人の動きも含めリコール再生器材の現状把握, 滅菌保証レベルを高めるためのデータ作りが可能となった. 再生器材が適切に滅菌され臨床の場に提供できるよう, 当院の滅菌工程の見直しと滅菌保証の必要性が強く再認識できたので報告する.