日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
Print ISSN : 1881-2503
ISSN-L : 1881-2503
HOPE/EGMAIN-EX上で運用されるクリティカルパスにおけるバリアンス分析
大渕 信久塩原 香柳瀬 治
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 9 巻 4 号 p. 524-527

詳細
抄録

当院では2004年11月から富士通のHOPE/EGMAIN-EXが導入され、多くのクリティカルパスが電子カルテ上で運用されるに至っているが、未だにバリアンス分析以前にバリアンス入力さえ充分にできていない。今回、同電子カルテにおいてバリアンス入力を困難にさせている原因や問題を分析した。2004年11月から2006年9月までに適用された心臓カテーテル検査クリティカルパス、全243例について、HOPE/EGMAIN-EXが定めるバリアンス収集方法に従って全て分析しなおした。バリアンス総数は1,941件 (1例あたり8件) であり、実際にバリアンスとして標識されていたのは70 (3.6%) 件に留まった。内容は「医師による追加指示」が1,196件と最も多く、次いで「合併症によるもの」が283件、「医師によるクリティカルパスの指示無視・省略」が219件と続いていた。2006年10月以降、バリアンスに対する理解とバリアンス入力方法をスタッフに周知徹底したところバリアンス入力が増えてきたことから、バリアンスそのものに対する理解不足やHOPE/EGMAIN-EX内のクリティカルパスツールと紙クリティカルパスとの相違が、バリアンス未入力をもたらしていると思われた。また、バリアンス事項をどう分類するかについて、スタッフ間でコンセンサスが得られていないことにも一因があるように推察された。

著者関連情報
© 日本医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top