近年では体育学専攻の大学院生の教員免許取得率が約4割と低下し、学士課程での専攻が必ずしも体育ではない。採用する側は大学教員数の減少や高齢化の進行により体育組織が弱体化し、分野別FDの必要性が増してきた。そこで、体育担当教員の採用と研修の実態を把握することを目的としてアンケート調査を行った。対象としたのは中規模以上の全国の大学(446校)および短期大学(101校)で、2012年3月下旬から5月下旬に質問紙を郵送して行った。有効回答数と率は、117大学(26%)、23短期大学(23%)である。回答から得られた主な結果は以下の通りである。
(1)教養体育の担当教員を採用する場合、最も多いのは、「自校ホームページにて公募する」(57.2%)で、次いで、「JREC−IN(研究者人材データベース)にて公募する」で47.8%であった。私立大学と短期大学は、「公募するかどうかは状況により異なる」も多く、それぞれ34.7%、47.6%である。
(2)採用条件として重視することは「研究業績」と「専攻領域」で、3番目として、国公立大学では「博士の学位」、私立大学と短期大学では「実技の指導力・実績」であった。
(3)選考方法として最も多いのは、「面接」(98.5%)で、その次は「教養体育に対する抱負を書いた書面」(60.3%)であった。私立大学では「模擬授業」(38.7%)も比較的高い。
(4)教養体育の教員研修に関して、「FDや実技研修会への参加経費は研究費が使える」のは79.9%で、次いで、「初任者教員に対して個人的あるいは組織的に指導・助言する体制や雰囲気がある」(52.5%)であった。私立大学では、「FDや実技研修会への参加経費は研究費のほかに使える公費がある」が39.8%と比較的高い。
(5)「教養体育に関するFD研修会や授業研究会を非常勤講師も含めて行っている」は14.4%であった。
(6)全国大学体育連合の事業について、「『大学体育』や『大学体育学』などを閲覧したことがある」が最も多く72.3%であった。