2014 年 11 巻 p. 105-110
本取り組みは、スキー実習現場でiPadを使用して、その場で受講生に動画を提示する視覚的イメージによるスキー指導法を開発することを目的とした。参加した学生を技能に従い、初心者班(9名)、初級班(3名)および中級班(3名)に分けた。実習中にiPadで撮影された動画は、現場で受講生に提示をし、同時に指導者からの動作等に対する示唆を受けた。実習最終日前夜の講義の時間を利用して、実習現場での動画提示におけるiPadの有効性について受講生からアンケートを採取した。初級および中級班は、ほぼ全員が現場での動画提示が効果的と回答したが、初心者群では実習後との半々に分かれた。実習後が有効と回答した者は、全員が冷静に観察できることを理由としており、現場と回答した者の理由の大半は改善効果と即時性であった。また、ほぼ全員が現場での動画提示にビデオカメラよりもiPadの方が良いと回答したが、iPadの画面の見づらさも示された。自身の技能の改善には、技能レベルとは関係なく自身の滑走を観察し、他者のそれと比較できることが有効であることが示された。スキーに限定せずにiPadによる指導現場での動画によるフィードバック指導は、全員が有効であると回答していた。この手法は、初心者での技能改善に効果的であると考えられた。本取り組みの動作直後の視覚的フィードバックは、知覚と運動の協応を密に高めることで動作の忠実な再現性を可能とするものに違いない。