2015 年 12 巻 p. 33-41
本研究は、大学入学時の体育授業のイメージ調査における内包的背景因子について因子分析を用いて男女別に検討し、運動の好き嫌いとの関連を探り、今後の大学体育授業の改善の基礎資料を得ることを目的とした。対象はT大学に2012年度に入学した1年次生で調査内容に不備のない5,061名(男子学生3,546名、女子学生1,515名)である。アンケート調査として、現在と過去における運動の好き嫌いと体育授業に対するイメージ調査(SD法)を行った。その結果、運動が好きと回答する者の割合は、女子学生は男子学生に比し、いずれの年代でも低値であった。体育の授業に対するイメージの内包的背景因子は、男女それぞれ5因子が採択され、男子学生では「躍動感」「社会性・信頼性」「情緒性・感情」「規律」「衛生」の順であり、女子学生では「情緒性・感情」「活動・健康」「社会性・信頼性」「レベル・位置づけ」「衛生」の順となった。運動の好き嫌いに影響する体育授業イメージとしては、男女とも「情緒性・感情」が最も強く関連していた。特に女子学生のオッズ比は13倍となり、男子学生の9倍に比し、その影響は強かった。