2009 年 6 巻 p. 91-99
わが国における大学生の特徴の一つとして、近年、希薄なコミュニケーションスキルを基盤に人間関係を構築していることが挙げられ、このことは種々の対人的な心の問題の増加に結びついている。これらの問題を鑑み、本研究は、社会的スキル向上を意図した大学体育実技の実践介入による社会的スキルの改善・向上効果について検討することを目的とした。介入群(n=24)は、「クリエイティブ・ウォーク」「バレーボール」「キンボール」といった、全7回のセッションから成るコミュニケーションスキル改善・向上を意図した体育実技を受講した。対照群は(n=17)は、「筋力・有酸素トレーニング」「卓球」「バスケットボール」といった体力づくりを主目的とし、コミュニケーションスキルの獲得を意図的に組み込んでいない体育実技を受講した。対象者は、授業体験前後において「社会的スキル尺度(庄司,1991)」に回答した。二要因分散分析の結果、社会的スキル尺度の「共感・援助のスキル」にて、時間と 群の有意な交互作用が認められた。介入群においては、体験前から体験後にかけて高まったが、対照群においては体験前後において差異は認められなかった。社会的スキル尺度「積極的・主張的かかわりのスキル」には有意な交互作用は認められなかった。結論として、コミュニケーションスキル改善・向上を意図した大学体育は、部分的な社会的スキルの改善・向上に寄与する可能性が示唆された。本研究の最後に、研究の制限と今後の課題が示唆された。