2012 年 9 巻 p. 93-100
【目的】本研究の目的は、大学生の身体活動や不活動時間が6ヵ月間のメンタルヘルス不良の発現率を低下させるかを検証することである。
【方法】研究対象(559名)は2010年5月(ベースラインデータ)と2010年10月(追跡データ)にInternational Physical Activity Questionnaire短縮版(村瀬ら,2002)、運動セルフエフィカシー尺度(岡,2003)、およびGeneral Health Questionnaire 12項目版(本田ら,2001)に回答した。
【結果】559名の大学生のうち、ベースライン時にメンタルヘルス不良が認められたのは27.0%(男性21.2%、女性33.3%)であった。ロジスティック回帰分析の結果から、交絡因子の調整後も、男子学生の高強度身体活動は将来のメンタルヘルス不良が発現する危険性を低下させていた(オッズ比0.487、95%信頼区間0.247-0.962)。また、運動セルフエフィカシーも将来のメンタルヘルス不良が発現する危険性を低下されることが認められた(オッズ比0.510、95%信頼区間0.261-0.996)。しかし、女子学生ではそれらの関係は認められなかった。総身体活動量と不活動時間には有意な予測効果は男女共に認められなかった。
【結論】以上の結果から、高強度身体活動や運動セルフエフィカシーは大学生の将来のメンタルヘルス不良の発現を低下させることが示された。