抄録
目的:
超音波検査による若年者と高齢者での肩関節周囲の軟部組織厚および信頼性の違いを検討することである.
対象と方法:
対象は健常若年者11 名,健常高齢者11 名で,測定部位は,棘上筋腱(SST),肩峰下滑液包(SAB),上腕二頭筋長頭腱(BT)であった.各組織厚の相対信頼性は級内相関係数(ICC),絶対信頼性はBland ─ Altman 分析および測定の標準誤差(SEM)により検討した.健常若年者と高齢者の各組織厚の違いについては,独立した2 群の差の検定を実施した.
結果と考察:
ICC は,若年者ではSST が0.91,SAB が0.82,BT が0.90,高齢者ではSST が0.94,SAB が0.87,BT が0.87 であり,各組織厚は,SEM が小さく,系統誤差が認められなかった.SST 厚,BT 厚は,若年者に比べて,高齢者で有意に大きい値であった.