日本保健科学学会誌
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当院の放射線治療におけるリスクの解析
江⾯ 崇智明上 ⼭温齋藤 秀敏福岡 美代⼦⼤野 淳⽻⽣ 裕⼆
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2018 年 21 巻 Supplement 号 p. 20

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抄録
【⽬的】放射線治療はさまざまな技術や関連する⾼度な専⾨知識を⽤する多段階の複雑な過程により成り⽴っている.アクシデントやエラーの認識率を向上させるためには,適切な対策を実施することが不可⽋であり,独⽴した チェックと⽀援機構が重要とされている.そこで,本研究では東京⼥⼦医科⼤学病院放射線治療室でのニアミス及びインシデントについて解析が可能なシステムを作成し,エラーへの対策が必要なプロセスを判別する.【⽅法】本研究では,院内の報告システムとは独⽴する形で放射線治療部⾨内でのニアミス,インシデントについて収集するシステムを作成した.対象は,2003 年から現在までの期間であり,2014 年4 ⽉以前の記録に関しては,過去に報 告された記録からシステムに登録した.エラーの分類に関しては,RADIOTHERAPY RISKPROFILE Technical Manual に準じている.【結果・考察】放射線治療における患者への投与線量を決定するプランニングに関しては,チェックリストの運⽤により,患者に影響を及ぼすエラーを抑⽌できたと考えられる.⼀⽅で,治療開始前の患者位置合わせや照射時については,インシデントとなる事例が多く,独⽴した⽀援機構の必要性が露呈した.加えて,全てのスタッフが簡便に記載可能かつ閲覧が可能なため,容易に情報の共有が可能となった.【結語】本研究により,エラーへの対策が必要なプロセスが判別可能となり,今後のエラーへの対策やその効果についての評価が可能となった.
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