抄録
【⽬的】本研究の⽬的は,妊婦の冷えが妊娠・分娩経過に及ぼす影響について⽂献検討を実施し,国内の周産期における冷え予防ケアの意義を検討することである.【⽅法】医学中央誌Web 版Ver.5.0 を⽤いて「冷え」「妊娠」「分娩」をキーワードに検索された過去10 年の“妊婦の冷えが妊娠・分娩経過に及ぼす影響”に関する25 ⽂
献を分析対象とした.なお,本研究で使⽤した各⽂献は本研究の⽬的以外には使⽤せず著作権法を遵守した.【結果】18 ⽂献がエビデンスレベル3 であり,”冷え”の定義は統⼀されておらず,質問紙の内容も様々であった.7 ⽂献では妊娠経過に,11 ⽂献では分娩経過に影響を及ぼし得ることを報告していた.【考察】冷え予防ケアのエビデンスレベルは低く,”冷え”の定義や質問紙は統⼀されていない.研究デザインも様々で,冷えが妊娠・分娩経過に及ぼす各影響にフォーカスをあて研究され始めた段階である.今後は定義および研究デザインを精練化させ,エビデンスを集積していくことが望ましい.【結語】妊婦の冷えが妊娠・分娩経過に及ぼす影響は,「めまい」「⼝腔内乾燥」「頻尿」「早産」「遷延分娩」「弛緩出⾎」など多岐にわたることが明らかになり,冷え予防ケアの重要性が⽰された.今後は,”冷え”に関連する⽤語の定義および研究デザインを精練化させ,エビデンスを積み重ねていくことが課題である.