抄録
【⽬的】認知症の症状は,重症度や個⼈の⼼理状態・環境因⼦によって変化する.したがって,周囲からのよりよい関わりが重要である.本研究は,認知症の疾患に焦点をあて,その⼈の⽣活歴や個性をふまえて考えたケアを⾏うことを提唱しているパーソン・センタード・ケア(以下,PCC)の理論を⽤い,対象者の視点から捉える
ことのできる学⽣の育成を⽬的とした.【対象・⽅法】対象は筆者が勤務する3 年制の作業療法⼠(以下,OT)養成施設に通う当時3年⽣33 名のうち,参加を希望し,授業を実施する時間がすべて可能な17 名とした.なお,
当校,学⽣には研究の⽬的と内容を説明し,同意を得て実施した.授業ではPCC の理論を学び,患者・家族をとりまく⼼理や環境,BPSDへつながる⾏動について検討するよう演習を実施した.演習の前後でレポート提出を指⽰し,対象者の視点から捉えることができているか内容の変化をみた.【結果】初回レポートでは⾝体機能や認知機能,ADL を中⼼に考察し,BPSD の原因や,その変化については記載がなかった.PCC の演習後に提出した最終レポートでは,BPSD の原因を⾏動や会話から考察しており,また今後の⽣活にどのように影響し,OT としてどのように関わっていく必要があるか,多職種や家族の指導の仕⽅まで考察が可能となった.BPSDや環境,対応に対し,対象者の視点からどのように感じているかを⾃ら考え,演習していく気づきの授業は重要である.