抄録
【⽬的】救急外来の看護師は治療を優先することで⽣じるマンパワー不⾜や時間のなさ,初対⾯の患者・家族への対応の難しさなどから満⾜な家族看護が実践できていない現状がある.そこで救急外来における家族看護をテーマとしている⽂献を概観し,その現状の課題を⾒出すことが⽬的である.【⽅法】医学中央雑誌web 版(Ver. 5 )で「病院救急医療サービス」と「家族看護」のキーワードを2000〜2017年で検索し,その中で家族看護における現状の課題に⾔及している⽂献を抽出し分析の対象とした.対象⽂献ごとに課題に該当する箇所の⽣データをコーディングシートに記⼊し,同様の意味を表すコードを集めてサブカテゴリ―を作成し,その特性を表現するカテゴリー名を付けた.【結果】対象となった26 ⽂献の分析の結果,コードは183 抽出され,10 のサブカテゴリー,4 つ
のカテゴリーが作成された.4 つのカテゴリーは,【救急外来特有の家族看護の難しさ】【家族看護実践能⼒】【家族看護実践への思い】【患者・家族‐看護師関係構築の難しさ】であった.【考察】救急外来という特殊な場で展開される家族看護は,⼈的時間的な制約も多く,家族看護を⾏うための環境の整備や⼈員の配置,後⽅⽀援病棟との連携や家族看護実践能⼒の向上・看護の質の向上のために看護師同⼠で家族看護について語らう場の設定,家族看護の体系的な教育体制の構築の必要性があると考えられた.