耳鼻と臨床
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III. 化学放射線療法 (CCRT) と頸部制御
化学放射線療法における頸部制御の治療成績と救済手術
徳丸 裕藤井 正人羽生 昇矢島 陽子萬 篤憲
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2009 年 55 巻 Suppl.1 号 p. S91-S97

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抄録

2003 年から 2007 年までに当科にて CDDP + 5-FU 併用もしくは Docetaxel 併用の化学放射線療法 (concurrent chemoradiotherapy : CCRT) を施行した病期 II - IV の中・下咽頭癌、喉頭癌症例のうち、頸部リンパ節転移を有し、かつ治療効果が判定可能であった 69 例を対象とした。CCRT による頸部制御の治療成績は、N1、N2a においては比較的良好であり、残存もしくは再発に対しても救済頸部郭清術を施行することにより制御可能であった。しかしながら、N2c 以上の頸部病変に対する CCRT の効果は不十分で、また遠隔転移も高頻度に認められたことから、併用化学療法のより強力なレジメンの開発や導入化学療法を検討するべきと考えられた。CCRT により CR が得られた頸部病変に関しては、頸部のみに再発する頻度は低いため、計画的な頸部郭清術を行う必要はないと考えられた。また CCRT 後の頸部病変の残存、再発に対する頸部郭清術については、安全に施行可能であり治療成績の更なる向上が可能と考えられた。

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© 2009 耳鼻と臨床会
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