耳鼻と臨床
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II. 切除可能 T3、T4 上顎洞扁平上皮癌における手術の位置付け — 当院における治療戦略 —
切除可能 T3、T4 上顎洞扁平上皮癌における手術の位置付け
- 当院における治療戦略 -
本間 明宏折舘 伸彦鈴木 清護鈴木 章之畠山 博充加納 里志水町 貴諭坂下 智博吉田 大介鬼丸 力也土屋 和彦安田 耕一白土 博樹福田 諭
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2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S52-S56

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抄録

大量シスプラチンの超選択的動注療法と放射線治療の同時併用療法を 1999 年から 2009 年までに北海道大学病院で行った上顎洞原発扁平上皮癌未治療例 41 例についての救済手術について検討した。原発巣が残存あるいは再発した例は 12 例あり、そのうちの 9 例に救済手術が行われた。9 例のうち 7 例は、その後、原発巣の再発なく経過し、原発巣の救済率は全体で 7/12 = 58.3%、T 別では T3:66.7%(2/3)、T4a:66.7%(4/6)、T4b:33.3%(1/3)であった。全症例の 5 年粗生存率は 73.6%であった。術後合併症は、遊離皮弁による再建を行った症例で重篤な合併症が出現した。救済率が比較的良好であったのは、再発が前方に生じた例が多かったためと考えられた。以上の結果を、今後の症例の初回治療の選択、救済手術を行うかどうかの参考にしていきたい。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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