耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
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ISSN-L : 0447-7227
原著
当科における喉頭癌の臨床的検討
竹内 寅之進土師 知行佐藤 進一市丸 和之西村 一成南 和彦宮崎 拓也坂本 進鈴木 良岩永 健大庭 晋藤原 崇史
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2014 年 60 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

2002 年から 2009 年の 8 年間に当科で一次根治治療を行った喉頭癌 164 例について臨床的検討を行った。発生部位は声門が 126 例と最も多く、声門上は 34例、声門下は4例であった。重複癌は同時性、異時性あわせて全体の 22.6%であった。TNM 分類では stage Ⅱまでの早期症例が 121 例(73.8%)と多かった。全体の 3 年粗生存率は 93.8%で、部位別では声門が 96.0%、声門上が 93.9%であった。喉頭温存率は全体で 70.1%であり、T3 15.6%、T4 7.7%と T 進行例で低かった。原発巣再発は 24 例 (14.6%)に認めたが、手術により 87.5%と高い救済率が得られた。T2、T3 症例では治療法間に生存率における有意な差は認めず、初回治療としては concurrent chemoradiotherapy (CCRT) が推奨される結果であった。喉頭温存率の向上を図るべく、CCRT の併用化学療法を変更したり、再発例、放射線抵抗例などに積極的に喉頭温存手術を導入していく必要があると思われた。

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