2019 年 65 巻 5 号 p. 146-151
喉頭截開下手術により気道狭窄が改善した外傷性喉頭横隔膜症例を経験したので報告する。症例は 55 歳、女性。階段から転落した際の甲状軟骨骨折に伴う外傷性上気道狭窄にて、気管切開後に当科定期通院中であった。気管切開孔閉鎖の希望があり手術を計画した。直達喉頭鏡下手術を行ったところ、前交連には厚い瘢痕状の web を認めた。web を切除し切除断端の一次縫合を行ったものの、術後 1 カ月で web 再発を認めた。このため喉頭截開下手術を行った。前回同様 web 切除後に声帯の上下面の一次縫合を行い、さらに喉頭截開により生じた声帯前方断端と頸部皮膚を縫合した。喉頭を截開したまま手術終了とし 4 週間後に截開部を閉鎖した。術後前交連 web の再発はなく喉頭腔は拡大しており、気管切開孔を閉鎖した。喉頭横隔膜症に対する術式として低侵襲な直達喉頭鏡下手術が一般的であるが、厚い重度 web に対しては喉頭截開下手術は現在でも有用である。