2020 年 66 巻 3 号 p. 68-73
誤嚥防止手術は重度の嚥下障害に対する外科的治療として神経変性疾患や脳血管疾患の患者に広く行われてきたが、根治を望めない担癌患者における報告は少ない。今回われわれは食道癌による通過障害に対して誤嚥防止術として鹿野式声門閉鎖術を行った。症例は 62 歳、男性である。根治不能な食道癌 Stage Ⅳ 症例による通過障害に対して食道バイパス術を施行したが、術後に両側反回神経麻痺による誤嚥性肺炎が出現して経口摂取が再開できない状態であった。本人の強い希望により誤嚥防止手術として声門閉鎖術を施行し、食道癌担癌状態であるため食形態には制限はあるものの経口摂取が可能となった。術後半年にて原病死されたため経口摂取可能期間は短期間ではあったが、末期患者における quality of life(QOL)の改善に誤嚥防止術が寄与した症例であると考えられた。