2022 年 68 巻 4 号 p. 299-307
頭頸部の希少癌(耳下腺唾液腺導管癌)症例で、がん遺伝子パネル検査を経験した。当初アンドロゲン受容体の過剰発現がみられ、CAB 療法により著効が得られたがその後 PD となり、増悪病変の組織を本検査に提出した。腫瘍細胞の遺伝子異常に基づく推奨薬剤が免疫チェックポイント阻害剤と決定され投与したが、irAE により継続が困難で、不幸な転帰となった。本検査に基づく治療の実施率は現状では 1 割程度と低く、保険診療内での実施にも限界があることを認識した。検査の活用・普及にあたっては、治療開始早期の承認、薬剤の適応疾患の拡大または混合診療が実施可能な体制整備が望まれる。また、増悪病変の組織ではアンドロゲン受容体の陰性化がみられ、難治性の要因と考えられる腫瘍内不均一性も念頭に治療戦略を検討する必要がある。