2022 年 68 巻 6 号 p. 385-388
副鼻腔の内反性乳頭腫の腫瘍マーカーとして血清 SCC 抗原の有用性が報告されている。内反性乳頭腫症例における術前術後の SCC 抗原値の推移、腫瘍の最大径および進展範囲と SCC 抗原値との関連について検討した。対象は 2017 年 1 月から 2021 年 9 月までに当院で手術を行い内反性乳頭腫と診断した 18 例。全例で術前に血清 SCC 抗原値を測定、13 例では術後にも血清 SCC 抗原値を測定した。男性 13 例、女性 5 例、年齢は 27 − 87 歳、平均 60.2 歳であった。Krouse の分類では T1 が 4 例、T2 が 4 例、T3 が 10 例、T4 は 0 例であった。14 例で手術前の血清 SCC 抗原値が基準値を超えていた。腫瘍の最大径と血清 SCC 抗原値は正の相関を認めた。Krouse の分類と血清 SCC 抗原値は相関がなかった。血清 SCC 抗原値は手術後に有意に低下した。血清 SCC 抗原値は内反性乳頭腫の腫瘍マーカーとして有用であることが確認された。