抄録
リン脂質を素材という見方で見たときの現状をまとめた。レシチンと称されるリン脂質を除くと, 工業化されているリン脂質はグリセロリン脂質の一種のホスファチジルコリンのみで, その価格は数十万円/kgと宝石並の高価品である。しかし, この10年間でリン脂質の研究が進み, (1) リン脂質そのものの生理活性 (2) リボソーム素材 (3) リン脂質複合体 (4) リン脂質による化学修飾の各分野で新製品が開発されてきた。それらを概説した。
リン脂質を単なる化合物と捉えず, 膜構成, 複合体化, 化学修飾の成分と捉えると, リン脂質は明らかに新素材と言える。今後も注目され続けるだろう。