耳鼻と臨床
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原著
  • 大塚 雄一郎
    2022 年 68 巻 6 号 p. 385-388
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    副鼻腔の内反性乳頭腫の腫瘍マーカーとして血清 SCC 抗原の有用性が報告されている。内反性乳頭腫症例における術前術後の SCC 抗原値の推移、腫瘍の最大径および進展範囲と SCC 抗原値との関連について検討した。対象は 2017 年 1 月から 2021 年 9 月までに当院で手術を行い内反性乳頭腫と診断した 18 例。全例で術前に血清 SCC 抗原値を測定、13 例では術後にも血清 SCC 抗原値を測定した。男性 13 例、女性 5 例、年齢は 27 − 87 歳、平均 60.2 歳であった。Krouse の分類では T1 が 4 例、T2 が 4 例、T3 が 10 例、T4 は 0 例であった。14 例で手術前の血清 SCC 抗原値が基準値を超えていた。腫瘍の最大径と血清 SCC 抗原値は正の相関を認めた。Krouse の分類と血清 SCC 抗原値は相関がなかった。血清 SCC 抗原値は手術後に有意に低下した。血清 SCC 抗原値は内反性乳頭腫の腫瘍マーカーとして有用であることが確認された。

  • 伊藤 恵子, 兼田 博
    2022 年 68 巻 6 号 p. 389-393
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    胃瘻造設時に施行した嚥下機能評価が、胃瘻造設後 3 カ月間の生死や摂食と関連するか、またそれらに関連するその他の因子について検討した。2015 年 1 月から 2020 年 12 月までの 6 年間に、当院で胃瘻造設と嚥下機能検査が施行された 123 例について後ろ向きに検討した。胃瘻造設後 3 カ 月間生存していた症例は 104 例(85%)で、胃瘻造設時の CRP 値が低く、Alb 値が高く、CONUT スコアが低い症例で生存している割合が有意に高かった。胃瘻造設後 3 カ 月以内に 1 日 1 回以上食事ができた症例は 11 例(9%)で、食事を摂取した症例は摂取しない症例に比べ兵頭スコアが有意に低かった。胃瘻造設時に施行した兵頭スコアによる嚥下機能評価は、胃瘻造設後 3 カ 月の摂食を反映すると考えられた。

  • 速水 菜帆, 田浦 政彦, 三橋 泰仁, 宮﨑 健, 妻鳥 敬一郎, 末田 尚之, 坂田 俊文
    2022 年 68 巻 6 号 p. 394-402
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    耳鼻咽喉科は外界と接する領域を扱う診療科で、異物症は頻繁に遭遇する疾患である。異物を主訴に福岡大学病院耳鼻咽喉科を受診した 338 例を後ろ向きに検討したので報告する。対象は 2018 年 1 月から 2020 年 12 月までに異物症のため当科を受診した 338 例である。異物を認めた症例は年齢分布の二峰性を示し、入院を要した症例も同様であった。全体症例で異物の種類は魚骨が多く入院症例も魚骨が最多であるが、入院を要した割合は義歯が最大であった。異物の介在部位は咽喉頭が最多で、そのうち口蓋扁桃が多かった。10 歳未満の小児の場合、介在部位は咽喉頭、種類は玩具が最多であった。14 例が入院を要し、全例で全身麻酔を行った。異物部位や種類の割合は他施設と概ね同等であった。合併症を来しやすい義歯や食道異物に対しての周知が重要であり、異物摘出による副損傷を最小限にするには、総合病院への迅速な紹介が最良と考える。

症例報告
  • 吉田 興平, 森 牧子, 荒井 康裕, 和田 昂, 森下 大樹, 折舘 伸彦
    2022 年 68 巻 6 号 p. 403-410
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    マイコプラズマ感染症は、多彩な全身症状を呈することがあり、発熱などの先行症状を伴っている。マイコプラズマ咽頭炎および中耳炎に続発し両側混合難聴および両側顔面神経麻痺を来した症例を経験した。症例は 14 歳、女性。数日前からの発熱、両側耳痛を主訴に当科受診した(day 1)。両側外耳炎および両側中耳炎、上咽頭炎を認めた。同日より CTRX の投与を開始した。Day 2 より左顔面神経麻痺が出現し、プレドニゾロン漸減投与を開始した。純音聴力検査では、中等度の両側混合難聴を認めた。Day 6 にマイコプラズマ補体結合反応陽性と判明し、AZM に変更した。Day16 に右顔面神経麻痺を認め、再度ステロイド治療を行った。両側の骨導閾値と右顔面神経麻痺は改善したが、左顔面神経麻痺は改善を認めず、day65 に左顔面神経減荷術を施行した。先行症状を伴う顔面神経麻痺や急性感音難聴の症例では、マイコプラズマ感染症が鑑別の一つと考えられる。

  • 畑山 絵理子, 鈴木 久美子, 田中 成幸, 倉富 勇一郎
    2022 年 68 巻 6 号 p. 411-418
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    頭蓋底骨髄炎は高齢糖尿病患者に多く、脳神経麻痺を伴うと致死的となる。典型例では悪性外耳道炎から、非典型例では中耳炎や副鼻腔炎から波及する。今回われわれは、急性中耳炎後に発症した多発脳神経麻痺を伴う頭蓋底骨髄炎例を経験した。症例は糖尿病の基礎疾患を有する 68 歳、男性。嗄声・嚥下困難・頭痛を主訴とし右軟口蓋麻痺、右喉頭麻痺、右外転神経麻痺を認めた。CT、MRI で上咽頭から頭蓋底にかけて骨破壊を伴う広範な陰影を認め、上咽頭癌や頭蓋底骨髄炎が疑われた。上咽頭粘膜面の生検では悪性所見なく、ナビゲーション下に斜台骨から生検を行い頭蓋底骨髄炎と診断された。抗菌薬を半年間、抗真菌薬を 1 年間投与し、軟口蓋麻痺と外転神経麻痺は改善し、喉頭麻痺は残存したが嚥下障害は改善した。本症例は急性中耳炎から潜在性乳様突起炎を生じ頭蓋底骨髄炎に波及したと推察され、頭蓋底骨髄炎の予後改善には早期の診断と長期の抗菌薬治療が重要と思われた。

  • 田中 克典, 真栄田 裕行, 嘉陽 祐紀, 金城 秀俊, 上里 迅, 安慶名 信也, 平川 仁, 鈴木 幹男, 玉城 智子
    2022 年 68 巻 6 号 p. 419-425
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    紡錘細胞癌(spindle cell carcinoma;SPCC)は扁平上皮癌の亜型で扁平上皮癌成分と肉腫様の紡錘細胞成分が混在する悪性腫瘍で、頭頸部扁平上皮癌の 1−3%を占める。頭頸部領域では喉頭や口腔に比較的多くみられるが、下咽頭では比較的まれな腫瘍とされる。腫瘤表面には扁平上皮癌成分のみが認められることがあり、生検では確定診断できないことも多い。治療は手術が第一選択となり、化学療法・放射線治療の有効性は確認されていない。今回われわれは、術前には SPCC の診断が得られず、摘出後の病理所見ではじめて確定診断に至った下咽頭発生の SPCC を経験した。さらに当科で経験した他の頭頸部発生 SPCC 8 例とともに報告した。

  • 鈴木 哲史, 工藤 直美, 原 隆太郎, 松原 篤
    2022 年 68 巻 6 号 p. 426-429
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    両側口蓋扁桃摘出術後に、頻回の擤鼻により頸部皮下気腫、縦郭気腫を来した症例を経験した。43 歳、女性、胸肋鎖骨過形成症、掌蹠膿疱症の既往があり、口蓋扁桃摘出術を希望して当科へ紹介となった。両側口蓋扁桃摘出術を施行し、手術は問題なく終了したが、術後から鼻閉・鼻汁の訴えがあり、頻回な擤鼻を行った後から呼吸苦を訴えた。触診で頸部、腋窩、前胸部の握雪感を認め、CT では頸部間隙や前胸部、縦隔全体に広がる気腫像を認めた。縦隔気腫、皮下気腫の原因と思われた擤鼻を禁止し、安静によって気腫が増悪することなく良好な経過を得た。

  • 大森 史隆, 和田 佳央理, 西 憲祐, 西平 弥子, 山野 貴史
    2022 年 68 巻 6 号 p. 430-436
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    Ramsay Hunt 症候群による右迷走神経麻痺で摂食・嚥下障害を呈した 1 例を経験した。甲状軟骨形成術Ⅰ型(以下、Ⅰ型)の前後で咽頭残留、penetration aspiration scale を比較したが、Ⅰ型単独では、改善は限定的であった。Ⅰ型術後に通常姿勢、頸部回旋位、頬杖位で咽頭残留を比較した結果、頬杖位で最も咽頭残留が少なかった。また、頬杖位では誤嚥がなく、頬杖位で経口摂取獲得に至った。通常姿勢の下咽頭通過側は、患側優位から健側優位に変化した。声帯麻痺以外にも右咽頭筋麻痺、右軟口蓋麻痺がみられたことでⅠ型単独での効果が限定的になったと考えられる。また、頸部回旋位で食塊の健側への誘導が困難な場合には、頬杖位での摂取を試みる価値があり、継続的に使用することで通常姿勢における嚥下においても改善が期待し得る。

  • 西平 啓太, 北川 理奈, 加藤 明子, 竹内 寅之進
    2022 年 68 巻 6 号 p. 437-442
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    今回われわれは、喉頭に孤発性腫瘤性病変を呈した全身性アミロイドーシスを経験したため報告する。症例は 85 歳、男性。経口摂取困難と喉頭違和感で検査目的に近医入院となり、CT 検査にて喉頭腫瘤を指摘されたため、当科に転院となった。喉頭蓋喉頭面に粘膜下病変を認め、全身麻酔下での生検の結果、アミロイドーシスの診断となった。全身性アミロイドーシスの鑑別目的に骨髄穿刺を行ったところ、形質細胞の増加を認め、形質細胞の表面抗原の異常を認めた。これらのことより形質細胞疾患による全身性アミロイドーシスの診断となった。年齢も考慮し、積極的な治療は行わない方針となった。嚥下障害の原因は明らかではないが、アミロイドニューロパチーあるいはアミロイドミオパチーによる舌運動障害の影響も考えられた。歯科装具やリハビリ等により嚥下機能は徐々に改善し、経口摂取可能となった。

  • 前田 耕太郎, 安達 朝幸, 佐藤 智生, 熊井 良彦
    2022 年 68 巻 6 号 p. 443-449
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    症例は 16 歳、男性。重度精神発達障害があり、誤嚥性肺炎を繰り返していたため、10 歳の時に誤嚥防止術として喉頭全摘出術を行った。術後、側弯症の進行に伴い、永久気管孔が閉塞するようになったため、15 歳時にカニューレを挿入するようになった。16 歳時に突然永久気管孔から出血を来し、気管腕頭動脈瘻と診断され、腕頭動脈にステントグラフトを留置することで止血効果を得て救命した。その後約 1 カ 月で再出血を来したため、ステントグラフトを再留置して止血を行った後、根治的に腕頭動脈離断術を施行した。術後、再発なく良好に経過している。気管腕頭動脈瘻は救命率の低い疾患として認識されている。根治治療としては外科的腕頭動脈離断術や結紮術が主流であるが、医療の進歩とともに血管内治療も選択肢となりつつある。現時点では血管内治療の長期予後は不明であるが、根治治療を行うための応急止血法としては救命率の向上に寄与すると期待される。

臨床ノート
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