耳鼻と臨床
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症例報告
マイコプラズマ中耳炎に続発した両側混合難聴および両側顔面神経麻痺の 1 例
吉田 興平森 牧子荒井 康裕和田 昂森下 大樹折舘 伸彦
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2022 年 68 巻 6 号 p. 403-410

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抄録

マイコプラズマ感染症は、多彩な全身症状を呈することがあり、発熱などの先行症状を伴っている。マイコプラズマ咽頭炎および中耳炎に続発し両側混合難聴および両側顔面神経麻痺を来した症例を経験した。症例は 14 歳、女性。数日前からの発熱、両側耳痛を主訴に当科受診した(day 1)。両側外耳炎および両側中耳炎、上咽頭炎を認めた。同日より CTRX の投与を開始した。Day 2 より左顔面神経麻痺が出現し、プレドニゾロン漸減投与を開始した。純音聴力検査では、中等度の両側混合難聴を認めた。Day 6 にマイコプラズマ補体結合反応陽性と判明し、AZM に変更した。Day16 に右顔面神経麻痺を認め、再度ステロイド治療を行った。両側の骨導閾値と右顔面神経麻痺は改善したが、左顔面神経麻痺は改善を認めず、day65 に左顔面神経減荷術を施行した。先行症状を伴う顔面神経麻痺や急性感音難聴の症例では、マイコプラズマ感染症が鑑別の一つと考えられる。

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