2022 年 68 巻 6 号 p. 443-449
症例は 16 歳、男性。重度精神発達障害があり、誤嚥性肺炎を繰り返していたため、10 歳の時に誤嚥防止術として喉頭全摘出術を行った。術後、側弯症の進行に伴い、永久気管孔が閉塞するようになったため、15 歳時にカニューレを挿入するようになった。16 歳時に突然永久気管孔から出血を来し、気管腕頭動脈瘻と診断され、腕頭動脈にステントグラフトを留置することで止血効果を得て救命した。その後約 1 カ 月で再出血を来したため、ステントグラフトを再留置して止血を行った後、根治的に腕頭動脈離断術を施行した。術後、再発なく良好に経過している。気管腕頭動脈瘻は救命率の低い疾患として認識されている。根治治療としては外科的腕頭動脈離断術や結紮術が主流であるが、医療の進歩とともに血管内治療も選択肢となりつつある。現時点では血管内治療の長期予後は不明であるが、根治治療を行うための応急止血法としては救命率の向上に寄与すると期待される。