今回われわれは、喉頭に孤発性腫瘤性病変を呈した全身性アミロイドーシスを経験したため報告する。症例は 85 歳、男性。経口摂取困難と喉頭違和感で検査目的に近医入院となり、CT 検査にて喉頭腫瘤を指摘されたため、当科に転院となった。喉頭蓋喉頭面に粘膜下病変を認め、全身麻酔下での生検の結果、アミロイドーシスの診断となった。全身性アミロイドーシスの鑑別目的に骨髄穿刺を行ったところ、形質細胞の増加を認め、形質細胞の表面抗原の異常を認めた。これらのことより形質細胞疾患による全身性アミロイドーシスの診断となった。年齢も考慮し、積極的な治療は行わない方針となった。嚥下障害の原因は明らかではないが、アミロイドニューロパチーあるいはアミロイドミオパチーによる舌運動障害の影響も考えられた。歯科装具やリハビリ等により嚥下機能は徐々に改善し、経口摂取可能となった。