耳鼻と臨床
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症例報告
口腔カンジダ症で受診し HIV 感染症が診断された 2 例
友田 篤志八木 正夫阪上 智史村田 英之岩井 大
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2023 年 69 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

HIV 感染症は数年から 10 年程度の無症候期があるが、細胞性免疫低下に伴って発症するものとして口腔カンジダ症がある。今回、非偽膜性カンジダ症から HIV 感染症が判明した 2 例を経験した。症例 1 は 69 歳、男性。口腔所見で舌の発赤と舌乳頭の委縮を認め培養結果からも口腔真菌症と診断された。問診でタイへの頻回の渡航歴があり、HIV 抗体検査陽性であった。症例 2 は 44 歳、男性。舌に萎縮所見、舌正中に小潰瘍性病変を認め、生検の結果、口腔カンジダ症でありカンジダによる正中菱形舌炎と診断した。問診により同性愛者と判明し、HIV 抗体検査は陽性であった。口腔カンジダ症は AIDS 発症に先行して出現することが多い。HIV の早期診断/早期治療介入は予後や感染拡大予防のために重要であり、口腔内観察を多く行う耳鼻咽喉科医として、易感染性疾患を伴わない患者の紅斑性および肥厚性カンジダ症を見逃すことなく早期の治療につなげる必要がある。

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© 2023 耳鼻と臨床会
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