2023 年 69 巻 4 号 p. 277-283
日本の結核罹患率は年々減少し、2021 年に結核の低蔓延国となった。日常診療で結核疾患と出会う頻度は少なく、臨床像も多彩であることから診断までに時間を要する症例も多いとされる。近隣のアジア諸国では依然として結核罹患率は高く、日本での外国生まれの患者数は増加傾向にある。今回、自覚症状出現後 1 週間ほどで高度混合性難聴を認め、約 1 カ月半で顔面神経麻痺を合併した結核性中耳炎を経験した。初診時の鼓膜は急性中耳炎様の所見を呈しており、これまでに報告されている結核性中耳炎の経過と比較すると短期間で症状の進行を認めた。ANCA 関連血管炎性中耳炎などとも鑑別を要する経過であり、結核菌は一般細菌検査では検出されないため、通常とは異なる経過を呈する場合には結核性中耳炎の可能性も念頭において抗酸菌検査・病理組織学的検査を行う必要があると考える。