2024 年 70 巻 3 号 p. 150-155
家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)は APC 遺伝子変異が起因となり、大腸に腺腫性ポリープが多発する常染色体優性遺伝疾患である。大腸腺腫のほかにさまざまな腫瘍性病変を合併し、その一つに甲状腺癌が挙げられる。今回 FAP に伴う甲状腺乳頭癌を 2 例経験した。2 例ともに FAP と大腸癌が発覚した際に、精査の段階で甲状腺乳頭癌を指摘された若年女性であった。1 例は遺伝子検査の結果、APC 遺伝子変異陽性であったことから、片葉の微小病変であったが、甲状腺準全摘を選択した。2 例目は両葉の多発性病変で頸部リンパ節転移も疑われたため、甲状腺全摘、両頸部郭清術を施行した。2 例ともに特徴的な病理像である篩状亜型(cribriform-morular variant:CMV)を呈していた。FAP に伴う甲状腺乳頭癌は多巣性、多中心性の特徴から甲状腺全摘に準じた治療が望ましいと考えられた。