2024 年 70 巻 5 号 p. 287-292
犬の咬傷による喉頭外傷から音声障害を来した 1 例を報告した。症例は 30 代、男性。犬に頸部を咬まれ受傷。創部から呼気が漏れることを主訴に前医を受診した。前医にて喉頭外傷による皮下気腫、縦隔気腫と診断され、気管切開術を施行された。経過良好にて受傷後 5 日目に前医を退院し、音声障害の精査加療目的に受傷後 10 日目に当院へ紹介された。当科受診時、話声位での嗄声は認めなかったが、高音発声が困難であった。CT では偏位を伴う甲状軟骨左翼板の骨折を認めたため、受傷後 2 カ月目に観血的整復術と術後音声治療を行った。喉頭外傷の加療を判断する際は、話声位だけではなく、普段の声との違いや高音発声の状態なども評価する必要があると考える。また、観血的整復術のみでの改善が得られ難い場合は積極的に術後音声治療を行う必要があると考える。