2025 年 71 巻 1 号 p. 35-42
悪性腫瘍に対する放射線化学療法(CRT)後のサルベージ手術は、創傷治癒の遅延が予想される。特に頭蓋底再建を伴う手術において創部感染、出血、髄液漏などの合併症が高頻度に起こる。そのため創部が上皮化するまで合併症に注意し、長期間、厳格なフォローアップが必要となる。今回、前頭蓋底再建を伴う鼻副鼻腔未分化癌のサルベージ手術後に創部の感染、出血、髄液漏を認め、それに対して創部のデブリードマンと髄液漏閉鎖術を行った症例を経験した。サルベージ手術後の髄液漏閉鎖術では、過去の手術や CRT の影響で頭蓋底再建に用いる材料が限られ、症例ごとによく吟味して再建材料と再建方法を選択する必要がある。本症例では、頭蓋底の欠損部が小さく、髄液漏の流量も比較的少なかったため、free graft を用いた頭蓋底再建法を選択し、髄液漏を停止させることができた。