耳鼻と臨床
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症例報告
初診時に肺転移を伴わず多発骨転移を認めた顎下腺腺様嚢胞癌の 1 例
比嘉 航希真栄田 裕行鈴木 幹男
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2025 年 71 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

顎下腺腫瘍は、耳下腺腫瘍に比べ発生頻度は低いが、悪性腫瘍の占める割合は高い。その中では腺様嚢胞癌が最多である。臨床的な特徴として発育が緩慢なことや初期症状に乏しいことが挙げられるが、隣接する軟部組織や神経への浸潤傾向が強く、広範に進展することが多い。また肺や骨に容易に遠隔転移し、予後不良な疾患である。患者は 50 歳の女性で、右顎下部腫脹を初発症状とし、頸部超音波検査および穿刺細胞診により、顎下腺悪性腫瘍と診断された。CT 画像では頸部リンパ節転移や肺転移は認めなかったが、PET-CT 検査において、脊椎や全身の体幹骨への FDG 高集積が認められ、全身の多発骨転移が疑われた。なお肺への転移は認めなかった。確定診断目的に右顎下腺摘出術を行い、最終的に顎下腺腺様嚢胞癌の診断が得られた。顎下腺腺様嚢胞癌の転移様式として、経過観察中の骨転移は一般的であるが、初診時において肺転移のない全身の多発骨転移はまれであると思われた。

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