耳鼻と臨床
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めまい・難聴を主訴とした小児頭蓋内血管腫の1例
吉川 茂樹池田 佳充西平 修福井 仁士
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1993 年 39 巻 1 号 p. 23-27

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抄録
突発性にめまい, 難聴を生じた小児頭蓋内海綿状血管腫症症例を報告した. 8歳の女性が突然にめまい, 左難聴を自覚した. 入院時には難聴, ふらつき以外の他の脳神経症状はみられなかつた. CT, MRIを行い, 左中小脳脚から橋の一部に小腫瘤が発見された. 腫瘤は摘出され, 病理学的検査で海綿状血管腫と診断された. 小児の頭蓋内海綿状血管腫はきわめてまれな疾患であるとされていたが, 近年MRIの普及により報告が急増している. その初発症状のほとんどがてんかん, 痙攣発作であり, われわれの経験した症例のようにめまい, 難聴を初発症状とした報告は少ない. これは血管腫が中小脳脚から橋に限局していたことによる局所症状と考えられる. 突発性に発症した難聴には神経耳科学検査を十分に行い, 中枢病変が少しでも疑われれば, CT, MRIを用いた画像診断を行つて中枢病変を除外しなければならない. とくにMRIは濃度分解能に優れ, きわめて有用である.
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