抄録
久留米大学耳鼻咽喉科において1988年に施行した耳の手術後に発症した耳鳴について検討した. 発症の頻度は, 中耳炎に対する鼓室形成術83例中12例 (14%), アブミ骨手術3例中1例 (33%) であつた. 顔面神経減荷術10例, 内リンパ嚢手術7例, 奇形に対する鼓室形成術3例および経迷路的聴神経腫瘍摘出術2例では, 手術によつて既存の耳鳴が増悪したり, 新たに耳鳴の生じた例はなかつた. 乳突削開を施した例において耳鳴の発症したのは中耳炎例に限られていた. 中耳炎に対する術式の違いによる耳鳴の発症頻度には有意の差はなく, 気導および骨導値の変化との関連は認められなかつた. また術前の骨導値との関連もなかつた. 耳鳴は3カ月の経過観察の間に, 6例は消失, 5例は軽減, 2例は不変であった.