抄録
1979年1月から1988年12月の10年間に当教室で一次治療を行つた頭頸部悪性腫瘍 678例につき上皮性悪性腫瘍636例と非上皮性悪性腫瘍42例に分けて検討した.
(1) 上皮性悪性腫瘍 (頭頸部癌): 原発部位は喉頭が34.7%と最も多かつた. 症例数の年次別推移では中咽頭癌が増加傾向を, 鼻・副鼻腔癌は減少傾向を示した. 性比は4.0であつた. 年齢分布では男女とも60歳代がピークであつた. 臨床病期は喉頭癌を除いて大部分が進行癌の占める割合が高かつた. 頸部リンパ節転移は48.8%と高率であつた. 病理組織では扁平上皮癌が94.5%と大部分を占めていた.
(2) 非上皮性悪性腫瘍: 悪性リンパ腫が最も多く42例中35例であつた. その中では中咽頭が8例と最も多かつた. 悪性リンパ腫の性比は0.78であつた. 年齢分布は頭頸部癌と同じく60歳代にピークがみられ, 臨床病期もStageIVが最も多かつた.