抄録
耳下腺腺房細胞癌の被膜と周囲耳下腺組織の形態について検討し, 次のような知見を得た.
1) 被膜および周囲組織の組織学的所見は, 多形腺腫に類似していたが, 顔面神経との関係は異なり, 本腫瘍では, 神経を被膜ごと腫瘍内に取り込んでいる像が認められた.
2) 本腫瘍は, 術前に確定診断されにくい. 全般所見からみると良性のように思われるが, 一部に悪性を疑わせる所見を認める例に注意が必要で, 術中腫瘍周囲に細血管が多く, 出血がやや多いと感じられる場合には, 本腫瘍の可能性も十分考慮に入れる必要があると思われた.
3) 転移はリンパ節に多いとされるが, 血管成分が多いことより, 血行転移にも注意する必要があると思われた.