抄録
頭頸部扁平上皮癌に対する代表的な併用化学療法であるCDDP+PEP (CP) とCDDP+5-FU (CF) の効果と副作用につき比較検討した. CP症例は, 1981年から1984年までに当院で治療した93例で評価可能症例は85例, CFは1991年から1994年までの51 例に施行しそのうち50例が評価可能であった. CPはCR22例, PR 36例で奏功率68%, CFはCR 11例, PR 24例で奏功率70%であつた. CR率では各々26%, 22%であり全体の奏功率やCR率では大きな差は認められなかつた. 部位別奏功率では, 鼻副鼻腔癌に対してはCP 73%, CF 57%とCPの奏功率が高い傾向が見られ, 下咽頭に対しては, CFは症例は少ないが71%と良好な結果であった. 副作用では, CFで悪心嘔吐, 血液毒性が強いと考えられた. 頭頸部癌全体ではCPとCFの有用性は同等と考えられるが, 化学療法の目的とする生存期間の延長や遠隔転移の防止に関してCPとCFの有用性を明らかにするためには, 部位別の比較試験を施行する必要があると考えられる.