抄録
幽門側胃切除術でも胃全摘術でも胃手術後においては噴門機能が障害されることもまれではない。そこで胃手術後における嚥下食道期に対する評価を1) アンケート調査、2) バリウムによる嚥下時間測定、3) 内視鏡による吻合部内径計測により行った。アンケート調査では、食事の際にものがつかえるという項目で最もポイントが高く、この愁訴の程度は幽門側胃切除群より胃全摘群に高度であった。さらにバリウムによる嚥下時間の測定では対照群、幽門側胃切除群に比較して胃全摘群において嚥下時間の延長を認めた。すなわち幽門側胃切除群より胃全摘群において噴門機能の破壊が高度で嚥下障害の発生することが判明した。その原因として吻合部の狭窄も関与していると考え、内視鏡的に吻合部内径計測を行ったところ胃全摘術後の約5%に内径5mm未満の症例を認めた。