耳鼻と臨床
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45 巻, 2 号
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  • 井之口 昭, 横光 智, 嬉野 元喜, 家守 千鶴子, 安松 隆治, 中川 尚志, 藤野 睦子, 富田 恵理, 小宮山 荘太郎
    1999 年 45 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    保存的治療に抵抗する難治性通年性アレルギー性鼻炎患者に対するCO2レーザー手術の効果を自覚症状の面から検討した。レーザー照射は局所麻酔下に原則として3回行った。今回検討を行つた58例では、術後1カ月時点で自覚症状の改善を認めた有効例の割合は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉についてはそれぞれ53%、41%、74%であり、鼻症状全般での有効率は83%であった。また術後の鼻腔抵抗値は、術前に比して有意に減少した。鼻症状の程度が (2+) あるいは (3+) の症例では有効率は、くしゃみ92%、鼻汁68%、鼻閉82%であり、 (3+) 症例では (2+) 症例と比べて、消失、著明改善の著効例の占める割合が高かつた。(+) の症例は各鼻症状とも有効率は不良であつた。症状の推移についてはKaplan-Meier法を用いて検討した。術後1カ月から12カ月までの有効率の低下 (再発) は、 (2+) 以上の症例では、くしゃみで13%、鼻汁で47%、鼻閉で28%であつた。このことから、CO2レーザー3回照射による改善効果の持続期間としては約11カ月が1 つの目安になると考えられた。各鼻症状別の再発時期については、術後早期にはくしゃみ、鼻汁の症状が、術後6カ月以降は鼻閉症状が再燃してくる傾向があった
  • 馬場 駿吉, 鈴木 賢二, 大山 勝, 古田 茂
    1999 年 45 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ニューマクロライド系抗生物質であるclarithromycin (CAM) の耳鼻咽喉科領域の主要な感染症である中耳炎に対する臨床的検討を15歳以下の小児を対象に行った。総症例数は86例で臨床効果解析対象例は71例であった。その内訳は急性化膿性中耳炎67例、慢性化膿性中耳炎急性増悪症4例であった。臨床効果は88.7% (63/71) の有効率であった。細菌学的効果は90.0% (36/40) の菌消失率であった。副作用は3例 (発現率3.8% (3/80)), 臨床検査値異常変動は3例 (発現率7.7% (3/39)) に認められた。以上の結果からCAMは小児中耳炎に対して有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 高木 誠治, 中島 俊之, 澤津橋 基広, 大谷 信二, 津田 邦良, 進武 幹
    1999 年 45 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科にて初回治療においてレーザー切除術のみを施行した舌癌 (T1N0, T2N0) 症例18例の治療成績を検討した。局所再発はT1では認められず、T2では6例中1例 (16.7%) に認められた。頸部リンパ節後発転移はT1は12例中2例 (16-7%) に、T2では6例中2例 (33.3%) に認められ、いずれも原発巣切除後5-7カ月後に出現した。これら4例のうち1例のみ頸部郭清術の追加により制御された。早期舌癌におけるレーザー単独手術の治療成績の向上には、後発する頸部リンパ節転移の早期発見ならびに速やかなsalvage手術が必須であると考えられた。
  • 千々和 秀記, 森 一功, 山口 勝矢, 吉田 申一, 中島 格
    1999 年 45 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    滑膜肉腫は軟部組織から発生する悪性腫瘍であり大多数は四肢に好発する。頭頸部領域に発生することは稀であるが、われわれは頸部に発生した滑膜肉腫を経験した。症例は21歳女性で1991年頃より右頸部腫瘤に気付き、他院で腫瘍切除術を行った。組織結果で悪性血管周皮腫の診断であったため70Gyの放射線治療を行ったが、再発を認めたため本院を紹介され受診した。受診時右中頸部に径約30mmの硬い腫瘍を認め、1996年2月2日全身麻酔下に右頸部腫瘍摘出術、右頸部郭清術を行った。病理組織で多形性の乏しいクロマチンの増量した紡錘形細胞が増殖し錯綜構造を呈し、また免疫染色で上皮膜抗原 (EMA) で陽性であった。滑膜肉腫と診断した。治療は外科的切除のみであったが20カ月後に肺転移を認めた。
  • 大谷 恵子, 重見 英男, 須小 毅, 鈴木 正志, 茂木 五郎
    1999 年 45 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年、同種血輸血による副作用がクローズアップされ自己血輸血が注目され始めている。そこで、比較的輸血の可能性が高い遊離移植による再建外科を伴う頭頸部癌65例を対象に、自己血輸血の可否について後向きに検討した。手術時の平均出血量は550± 250mlであり、手術時最大準備血液量は800mlであった。標準偏差を加えた800mlのすべてを準備しなくても術前に400-600mlの貯血があれば、80%の症例が同種血輸血の回避が可能であると思われた。
  • 生物学的二進法について
    五十嵐 博之
    1999 年 45 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    人体は刺激因子に対して生物学的に最も合理的かつ合目的な生物学的二進法によって、自動適応機構が構成され、これによって人体の適応は最も都合よく営まれている。自動適応機構は、内分泌系と交感副交感の二神経の拮抗関係による二進法によって調節機構の基幹をなす自律神経とからなる。調節機構における内分泌系と自律神経との関係は不可分の関係にある。自律神経のレベルの変化は、白血球 (顆粒球、リンパ球) の分布を決定しており、逆に感染症は直接いずれかの白血球を活性化し、自律神経のレベルを決定している1), 2), 5)。
  • フィーディングチューブを用いた嚥下のリハビリテーション
    三枝 英人, 新美 成二, 八木 聰明
    1999 年 45 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下障害、特に咽頭期嚥下障害に対するリハビリテーションは、まだ充分確立されていない重要な分野の一つである。われわれは、“直接的”間接的嚥下訓練と称して、フィーディングチューブを用いた嚥下のリハビリテーションを行っている。今回、その成果と効果発現機序について検討した。方法は、今までに治療を行った患者のretrospectiveな検討と、治療前後の喉頭挙上曲線、進らの提唱した咽頭期嚥下動態のパラメータ8)、正面位の嚥下透視画像を用い比較、検討を行った。その結果、本法は様々な動的タイプの咽頭期嚥下障害に有効であり、咽頭期嚥下障害の型とは無関係に効果を示した。喉頭挙上曲線では、その移動距離が大きくなっていることが指摘され、各パラメータはそれぞれ改善を示していた。正面位の嚥下透視画像からは、本法は咽頭知覚に左右差がある場合、知覚の良い側に治療を行うが、治療後、治療を行った側優位に食魂が流れるようになった。これらの結果から、本法の効果発現機序について考察した。
  • 津田 豪太, 斎藤 等, 都築 秀明, 成田 憲彦, 高林 哲司, 田中 健, 河野 陽子, 井川 秀樹
    1999 年 45 巻 2 号 p. 128-132
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下性肺炎を反復し構音機能の廃絶した重度嚥下障害例3例に対し、Lideman1) やKrespi4) の気管食道分離ならびに気管食道吻合術に改良を加えた術式を試み、良好な結果が得られているので報告した。本術式は高位気管切開例でも施行可能で、機能回復後の可逆性も残しており優れていると思われた。リハビリテーションに抵抗する重度嚥下障害例でも外科的加療によって、呼吸路と消化管が分かれることで、経口摂取が安定し肺炎も激減し、栄養と呼吸の両面から高いQOLが得られることが改めて認識された。
  • 兵頭 政光
    1999 年 45 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    甲状咽頭筋と輪状咽頭筋からなる下咽頭収縮筋の特性について検討した。その結果、甲状咽頭筋と輪状咽頭筋は肉眼的形態、安静時および嚥下時の筋活動様式、筋線維の走行様式、筋線維タイプ構成などの点で極めて対照的な特性を示した。また、他の骨格筋との比較でも特に輪状咽頭筋は形態的、機能的、組織化学的に特殊な筋と位置づけることができる。一方で、甲状咽頭筋と輪状咽頭筋の問での特性の違いは漸次移行しており明らかな境界は認められなかった。このことが下咽頭収縮筋全体としての巧妙な筋活動様式を演出しているものと考えられる。
  • とくに愁訴に関するアンケートを中心に
    佐藤 博信, 村山 公, 鈴木 武樹, 大塚 善久, 宋 圭男, 田中 和彦, 小坂 和子, 松下 佳代, 小林 秀昭, 岩井 重富
    1999 年 45 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    幽門側胃切除術でも胃全摘術でも胃手術後においては噴門機能が障害されることもまれではない。そこで胃手術後における嚥下食道期に対する評価を1) アンケート調査、2) バリウムによる嚥下時間測定、3) 内視鏡による吻合部内径計測により行った。アンケート調査では、食事の際にものがつかえるという項目で最もポイントが高く、この愁訴の程度は幽門側胃切除群より胃全摘群に高度であった。さらにバリウムによる嚥下時間の測定では対照群、幽門側胃切除群に比較して胃全摘群において嚥下時間の延長を認めた。すなわち幽門側胃切除群より胃全摘群において噴門機能の破壊が高度で嚥下障害の発生することが判明した。その原因として吻合部の狭窄も関与していると考え、内視鏡的に吻合部内径計測を行ったところ胃全摘術後の約5%に内径5mm未満の症例を認めた。
  • 藤本 保志, 長谷川 泰久, 中山 敏, 寺田 聡広, 松塚 崇, 奥村 耕司, 竹内 秀行, 松本 昇, 松浦 秀博
    1999 年 45 巻 2 号 p. 142-146
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口腔癌手術症例36例を対象に術前の嚥下透視検査を施行し、腫瘍の進展範囲、加齢の影響、術後の誤嚥の有無との関連を検討した。進行群では早期群より有意に口腔期の障害が見られたが、老年群ではさらに、口腔期の障害に加えて咽頭期の障害が有意に多く認められた。早期群においても老年群では咽頭のクリアランス低下があらわれており、術後の誤嚥との関係も認められた。口腔癌の治療において術前の嚥下透視は術後嚥下障害を予期し、その対策をこうじる上で非常に有用である。
  • 4種類のバルーン法と臨床成績
    藤島 一郎, 北條 京子, 大熊 るり, 柴本 勇, 小島 千枝子, 田中 里美, 武原 格
    1999 年 45 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    輪状咽頭嚥下障害に対しバルーンカテーテル訓練法 (バルーン法) を行ったので方法、効果などについて報告する。バルーンの種類としては、膀胱留置バルーンカテーテルと食道ブジー用バルーンカテーテルの2つを症例に応じて使用した。バルーン法の手技は、a球状バルーンによる間欠的拡張法、b球状バルーンによる嚥下同期バルーン引き抜き法、または単純引き抜き法、c球状バルーンによるバルーン嚥下訓練、d筒状バルーンによる持続拡張法の4種類を行った。症例は11例が脳幹部梗塞、3例がくも膜下出血術後、1例が頸髄損傷、その他が2例であった。評価は臨床評価と嚥下造影、内視鏡で行った。17例中バルーン法を中心としたリハビリテーション訓練のみで改善がみられたのは9例、やや改善があったものの誤嚥が改善しなかったのは3例、ほとんど改善が得られなかったのは5例であった (手術は8例に行った)。
  • 1999 年 45 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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