耳鼻と臨床
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仮声帯突出による呼吸困難に対する甲状軟骨形成術IV型の応用
本吉 和美佐藤 英光兵頭 政光河北 誠二湯本 英二
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2001 年 47 巻 1 号 p. 50-53

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抄録
甲状腺癌術後に喉頭の前後径が著しく短縮し、両側仮声帯が喉頭腔へ突出したため呼吸困難を来したと思われる2症例に対し、甲状軟骨形成術IV型を施行し良好な結果を得た。症例1では両側喉頭麻痺、症例2では一側喉頭麻痺と術直後の声門浮腫のため気管切開が行われた。気管切開孔閉鎖目的に症例1ではEjnell法などの声門開大術を行い、症例2では保存的治療にて声門浮腫の軽快を待ったが呼吸困難は改善しなかった。このため喉頭の前後径を長くし、仮声帯の突出を軽減する目的で甲状軟骨形成術IV型を行い、気管切開孔を閉鎖することができた。本法は本来、声帯の緊張を高め声を高くすることを目的とした音声外科手術法であり、呼吸困難の改善を目的とした手術法ではない。しかし、甲状軟骨と輪状軟骨を接近させ喉頭の前後径を延長させることにより、仮声帯の喉頭腔への突出が消失し、呼吸困難を改善することができたものと考える。
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