耳鼻と臨床
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急性低音障害型感音難聴の再発例に対する当帰芍薬散の使用経験
玉木 克彦楠 威志村田 清高
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2006 年 52 巻 3Supplement2 号 p. S107-S111

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抄録

急性低音障害型感音難聴 (ALHL) は女性に多い。更年期障害や生理不順、月経困難などに汎用される当帰芍薬散をALHLの再発例に対して使用した。当帰芍薬散投与開始から6ヵ月以上経過を観察できたのは16例であった。13例の女性のうち6例で再発を認めなくなった。13例中7例は再発したが、そのうち4例は難聴の程度が軽く短期間で自然治癒したり、再発しても再発するまでの期間が延長した例も認められた。当帰芍薬散で効果が弱かった1症例には桂枝茯苓丸を処方したところ再発を認めなくなった。当帰芍薬散が無効の2症例で桂枝茯苓丸に変更したがこれも無効であった。残りの1例は服用コンプライアンスが不良で、内服をしていない期間に再発した。3例の男性にも当帰芍薬散を投与してみた。そのうち1例は無効であった。ほかの2例は再発を認めたが服用コンプライアンスが悪かった。対象となった症例数が少ないこともあるが男性には有効性を確認できなかった。

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