耳鼻と臨床
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内視鏡下鼻副鼻腔良性腫瘍切除術
鈴木 幹男
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2007 年 53 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
Hirschmann (1901) が膀胱鏡を用いて鼻腔を観察したのが鼻科領域における内視鏡利用の最初の報告といわれている1)。耳鼻咽喉科領域の中で特に鼻科で内視鏡下手術が発達した理由として、 (1) 額帯鏡を用いた手術では観察不可能な上顎洞や前部篩骨胞、前頭洞の内部をそれぞれの開口部を通して十分清掃ができること、 (2) CTをはじめとする画像診断が発達し副鼻腔の解剖・副鼻腔炎の病態把握が可能になったこと、などが挙げられる。鼻科領域の内視鏡下手術は慢性副鼻腔炎の手術から始まったが、最近では鼻出血止血術2)、歯原性嚢胞手術3)、髄液漏閉鎖術4)、鼻副鼻腔良性腫瘍切除5)、鼻副鼻腔悪性腫瘍切除6) に用いる報告がみられる。これまで鼻副鼻腔良性腫瘍はen bloc切除、出血コントロールの観点から、ルック手術・デンカー手術や外側鼻切開・Weber切開をはじめとする顔面に皮切をおく方法を用いて摘出されてきた7), 8)。しかし、内視鏡光学システムの進歩、内視鏡を用いた手術手技の改良、止血用機器の進歩、ナビゲーションシステムの導入に伴い、鼻副鼻腔良性腫瘍を内視鏡下に切除する報告が増加している5), 6), 9)-17)。
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