耳鼻と臨床
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当科における末梢性顔面神経麻痺症例の治療成績
プレドニゾロン60mgを初期投与量とする治療法についての考察
門田 英輝中条 恭子伊藤 彩高岩 一貴
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2007 年 53 巻 3 号 p. 129-136

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抄録
プレドニゾロン60mgを初期投与量とする当科の治療法による末梢性顔面神経麻痺症例の治療成績を調べ、予後不良症例を抽出し、予後不良症例に対するステロイド大量療法の必要性について検討した。最悪時麻痺スコアが10点以下の不全麻痺症例は全例治癒しており、プレドニゾロン60mgの初期投与量で十分な治療成績が得られていた。一方で最悪時麻痺スコアが8点以下の完全麻痺症例における治癒率は81%であり、これまで報告されているステロイド大量療法の治癒率 (91-98%) と比較し低い成績となった。完全麻痺症例に限ってはステロイド大量療法の適応であると考えられた。また、高齢者の顔面神経麻痺症例は治癒率が低い傾向を認めたが、高齢者は基礎疾患を有する症例も多く、個々の症例に応じてステロイド大量療法が適応可能かどうか慎重に検討すべきと思われた。全症例における完全麻痺の出現率は36%であり、これより合併症を有する高齢者を除外するとステロイド大量療法の適応はさらに限定され、全体の約3分の1程度になると考えられた。
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