日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
人工内耳手術における電極入れ替え症例の検討
石川 正昭平海 晴一山本 典生坂本 達則金丸 眞一伊藤 壽一
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2011 年 114 巻 5 号 p. 498-504

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抄録
人工内耳手術が普及し, 多くの患者がその恩恵を問題なく享受できている. 一方で電極の入れ替えを必要とする症例も徐々に増えつつある. 今回, 最近23年間の京都大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科における人工内耳手術症例において電極の入れ替えを施行した症例について検討した. 人工内耳手術を行った252名 (小児129名, 成人123名) のうち電極の入れ替えを要した症例は小児6名, 成人4名であり, 初回手術から入れ替え手術までの期間は小児で平均50.3カ月, 成人で平均89カ月であった. 入れ替えの原因として多かったのは小児ではHard failureと, 感染と人工内耳機器本体の皮膚への露出のそれぞれ2名 (小児全体の33%), 成人ではSoft failureの3名 (成人全体の75%) であった. 電極の再挿入に関して全電極を埋め込むことができた症例は8名 (80%) であったが, 再挿入に難渋した症例も存在した. 母音, 子音, 文節における術後の語音聴取能はいずれも入れ替えによる悪化を認めなかった. 人工内耳手術における電極の入れ替えは手技的に困難な場合はあるが, 入れ替え後の語音聴取能は入れ替え前に比べて有意な悪化を認めなかった.
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© 2011 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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