抄録
術中撮影用に新たに開発されたコーンビーム CT (CBCT) 装置である 3D Accuitomo M を使用する機会を得た. 術中 CT 撮影が有用であった症例として上顎洞異物・副鼻腔炎, 人工内耳, 鼓室形成, 翼口蓋窩・副咽頭間隙腫瘍について提示する. この装置による術中画像診断を行うことは, 術中の手術経過・完了の確認, ナビゲーションのアップデート, 教育上の効果, 患者や家族への説明等, 多くの有用性があると考えられた. 装置は狭い手術室でも取り回し可能で, 時間的にも大きな負担なく撮影可能であったが, 専用のヘッドレストが必要であること等による若干の配慮が必要であった. CBCT は軟部組織のコントラスト解像度が悪いという技術的制約があるが, これに対して, X 線造影糸を織り込んだマーカーの使用や造影剤の使用を試み, 一定の効果があったが, 技術的改良の余地があると考えられた.