日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
頭頸部表在癌に対する Endoscopic Laryngo-pharyngeal Surgery (ELPS) の短期治療成績
佐藤 宏樹塚原 清彰岡本 伊作勝部 泰彰八木 健二山口 隼糸井 隆夫清水 顕
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2019 年 122 巻 6 号 p. 891-897

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抄録

 内視鏡的咽喉頭手術 (endoscopic laryngo-pharyngeal surgery: ELPS) は頭頸部表在癌に対する経口的切除法の一つである. 当院では彎曲型喉頭鏡を用いて咽喉頭を展開後, 消化器内視鏡医が拡大内視鏡により病変の観察を行い, 術者である耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が先端可変式の高周波ナイフを用いて病変を切除している. 切除の際, 病変周囲や粘膜下への局注は消化器内視鏡医が内視鏡の鉗子口を経由して局注針を用いて行っており, 場合によっては切開や助手的な手技も行う. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科医と消化器内視鏡医の連携が重要である. 2014年8月~2017年12月の間に頭頸部表在癌例に対して施行した計50回の ELPS における40例57病変を対象に後方視的に検討した. 原発部位は下咽頭: 中咽頭: そのほかが43: 7: 7病変であった. 1病変の平均切除時間は59分で, 病理学的切除端は pHM0: pHM1: pHMX が27: 16: 14病変, pVM0: pVM1 が56: 1病変であった. 経口摂取開始日の中央値は1日であった. 術後2例でそれぞれ著明な喉頭浮腫と誤嚥により気管切開を行った. 局所再発を3例, 頸部リンパ節再発を4例で認め, 2例で他病死したがそのほか全例非担癌で生存中である. 当院では耳鼻咽喉科・頭頸部外科医と消化器内視鏡医が連携することで, 良好な成績で ELPS を行うことが可能であった.

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© 2019 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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