AIやIoTは、グローバルな規模でこれまで経験しなかったような影響を与えている。それは、プライバシー・個人情報保護に新たな問題を投げかけている。これまでにまとめられているAI原則の中にプライバシー保護を揚げるのが通例となっている。それでは実際にどのように保護するのか。
プライバシー・個人情報保護の問題は、情報通信技術(Information and Communication Technology : ICT)などの進展との関係でかなり論じてきた。その必要性は、日本の法律(2015年改正個人情報保護法附則第12条第3項)でも認められるようになった。これまでもそうであったが、グローバルな規模でプライバシー・個人情報保護問題を検討する必要性を痛感している。
そこで、プライバシー・個人情報保護に日常的に取り組んでいる主要国のデータ保護機関(Data Protection Authority : DPA)で構成されている「データ保護プライバシー・コミッショナー国際会議」(International Conference of Data Protection and Privacy Commissioners : ICDPPC)における議論が実践的であり、それを参照する意義は極めて大きいと考えるに至った。日本の個人情報保護委員会は2017年にメンバーとして認められた。この会議においては2017年にIoTの具体的な事例である自動化・コネクト(接続)された車両のデータ保護に関する決議(Resolution on data protection in automated and connected vehicles)が採択された。また、2018年には、同会議においてAIにおける倫理及びデータ保護についての宣言(Declaration on Ethics and Data Protection in Artificial Intelligence)が採択された。従来からの研究に加え、個人情報保護委員会の委員長として、これらの国際的文書にコミットしてきた。特に後者については、常設のAI作業部会が設けられ、日本としてもインプットしなければならない。そのためには、英知が結集されるべきである。