情報通信政策研究
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立案担当者解説
電波法の一部を改正する法律
堀口 裕記山内 匠中山 康一郎
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2019 年 3 巻 1 号 p. 129-144

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抄録

第198回通常国会において成立した「電波法の一部を改正する法律」は、Society 5.0の基盤となる電波の有効利用を促進するため、①電波利用料の料額の改定等を行うとともに、②特定基地局の開設計画の認定に係る制度の整備を行うほか、③実験等無線局の開設及び運用に係る特例の整備等の措置を講ずるものである。

①については、電波利用料の料額に係る周波数帯の区分等の見直しとして、

・ 無線技術の進展に対応し、電波利用料の料額の区分のうち周波数帯の区分を見直すとともに、広域専用電波として指定(指定により無線局単位から使用周波数帯幅単位の課金となる)が可能な周波数帯を拡大する。

・ 今後3年間(令和元年度~3年度)の電波利用共益費用及び無線局の開設状況の見込みを勘案した電波利用料の料額等の改定を行う。

また、電波利用料が減免されている国の機関や地方公共団体等が開設する無線局(公共用無線局)のうち、電波を非効率に使用しているものには、減免を認めないこととするほか、電波利用料の使途として、電離圏における電波の伝わり方の観測及び分析等並びに大規模災害に備えるための放送用設備の整備に係る補助金の交付を追加する。

②については、申請者が電波の経済的価値を踏まえて開設計画に記載した特定基地局開設料(認定を受けた者が納付すべき金銭)の額を考慮して開設計画の認定の審査をできるようにし、当該認定を受けた者による特定基地局開設料の納付に関する規定及び使途に関する規定を新設する。また、特定基地局の通信の相手方である無線局の移動範囲における無線通信を確保するために既設基地局を高度化してその運用を図ることが適当な場合について、開設指針及び開設計画の記載事項に当該既設基地局の配置等に関する事項を追加する。

③については、実験等に用いる無線設備(携帯電話端末及びWi-Fi機器等に限る。)が適合表示無線設備でない場合であっても、我が国の技術基準に相当する技術基準に適合しているときは、一定の条件の下に、当該無線設備を使用する実験等無線局の開設及び運用ができることとする。

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© 2019 総務省情報通信政策研究所
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