2020 年 3 巻 2 号 p. 71-94
ドイツにおける公共放送のオンライン・コンテンツ規制は、2009年6月1日発効の第12次改正放送州際協定によって制定された。しかしながら、同規制の適法性をめぐっては当初から判例・学説において激しく議論がなされており、またその後も、メディア利用環境の変化に適した公共放送のあり方が議論されてきた。そして、2009年の改正法から10年の時を経て、2019年5月1日に、公共放送のオンライン・コンテンツに関する責務、すなわち「テレメディア任務」の改革に関連する改正法である第22次改正放送州際協定が発効した。
本改正法は、一方で、公共放送のテレメディア任務の制約を緩和し、その範囲を大幅に拡大した。例えば、同改正法によって、旧法において課せられていた放送後7日未満というテレメディアコンテンツの閲覧期間の制約が原則として撤廃された。また、公共放送事業者は、リニア放送後だけでなく、リニア放送前に自己の放送プログラムのオンデマンドの番組をオンラインで提供できるようになった。さらに、公共放送事業者は、テレメディアコンテンツのために制作された独自の祖聴覚コンテンツをオンラインで提供できるようになった。
他方で、本改正法は、公共放送事業者に対してより厳格な制約も課している。例えば、改正法では、新しいまたは本質的な変更がなされたテレメディアコンテンツはすべて三段階テストが課せられるとともに、原則としてすべてのテレメディアコンテンツに、「プレスとの類似性」の禁止の原則が適用されることとなった。
本稿は、このような公共放送のテレメディア任務に関する重要な改革を行った第22次改正放送州際協定を分析し、公共放送のあり方につき検討を行うものである。