情報通信政策研究
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寄稿論文
AI脅威論の正体と人とAIとの共生
栗原 聡
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2020 年 4 巻 2 号 p. 45-54

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抄録

 飛躍的な性能向上をもたらしたDeep Learningが牽引する第3次AIブームも落ち着きを見せつつあり、過去2回のように冬の時代に突入することなく、着実な社会浸透が進んでいるように見える。とはいえ、Deep Learningのような機械学習の性能を引き出すには潤沢なデータが必要であり、そのデータ一つ一つに気がつかないようなバイアスが含まれていれば、そのバイアスも学習されることになり、その結果AIが人種差別をするような判断をしてしまうといった問題が発生することになる。これはAIのバイアス問題などと呼ばれるが、これ以外にもAIが高い能力を発揮できるようになったことで、AIに仕事が奪われるのではないかという指摘や、一昨年の年末でのAI美空ひばりに象徴される故人をAIで蘇らせることに関する議論、そして、LAWSとして知られる自律型AI兵器開発禁止に関する話題など、高性能かつ、今後さらにその能力が高まるであろうAIに対する懸念がいろいろ高まっている。本稿では、それら脅威論を整理するとともに、真にAIが人間社会に浸透し、人と共生する関係となるための道筋について考察する。

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