情報通信政策研究
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立案担当者解説
電気通信事業法の一部を改正する法律
中川 将史関口 温子江口 雄太永井 賢太朗中島 明彦
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2022 年 6 巻 1 号 p. 181-195

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要旨

第208回通常国会において成立した電気通信事業法の一部を改正する法律は、電気通信事業を取り巻く環境変化を踏まえ、電気通信役務の円滑な提供及びその利用者利益の保護を確保するため、①ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の整備、②利用者に関する情報の適正な取扱いに係る制度の整備、③卸協議の適正性の確保に係る制度の整備等を行うものである。

①については、一定のブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)に位置づけ、不採算地域におけるブロードバンドサービスの安定した提供を確保するための交付金制度を創設するとともに、基礎的電気通信役務に該当するサービスには、契約約款の作成・届出義務、業務区域での役務提供義務等を課すものである。

②については、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者が取得する特定利用者情報の適正な取扱いを確保するため情報取扱規程の策定等を義務付けるとともに、電気通信事業者等が利用者に関する情報を第三者に送信させようとする場合、利用者に確認の機会を付与することとするものである。また、検索情報電気通信役務(検索サービス)及び媒介相当電気通信役務(SNS)を提供する電気通信事業を電気通信事業法の届出等の対象とすることとしている。

③については、携帯大手3社、NTT東日本・NTT西日本の指定設備を用いた卸役務に係るMVNO等との協議の適正化を図るため、卸役務の提供義務及び料金算定方法等の提示義務を課すものである。

Translated Abstract

The Act Partially Amending the Telecommunications Business Act, which was passed in the 208th Japanese ordinary diet session, aims to ensure the smooth provision of telecommunications services and the interests of the users of the services under the changes in circumstances surrounding telecommunication businesses. It has mainly three pillars: (1) positioning certain broadband services as universal telecommunications services; (2) ensuring proper handling of user information; and (3) ensuring the appropriateness of negotiations between wholesale service suppliers and MVNOs (Mobile Virtual Network Operators) .

Specifically, as for (1), the act contains two main points: (i) it establishes a subsidy system to ensure the stable provision of broadband services in unprofitable areas by positioning certain broadband services as universal telecommunications services; and (ii) it imposes the obligations such as to establish general conditions of contracts and notify the Ministry of Internal Affairs and Communications (MIC) of them, and to provide services in the service areas, for universal telecommunications services.

As for (2), the act contains three main points: (i) it requires telecommunications carriers who have a great influence on the interests of users to properly handle user information that they obtain by creating an internal rule of handling of user information etc.; (ii) if a case where those operating telecommunication businesses transmit telecommunications instructions for the external transmission of user information, it requires them to notify it to its users; and (iii) it newly obliges businesses who provide search engines or social networking services to file a notification with MIC.

As for (3), the act imposes some obligations to particular wholesale telecommunication service suppliers in order to ensure appropriate negotiations between businesses: e.g. to provide the service unless there are justifiable grounds; and to present buyers with information including the methods of wholesale rate calculations.

1.はじめに

令和4年6月17日に公布された電気通信事業法の一部を改正する法律(令和4年法律第70号。以下「本法律」という。)は、電気通信サービスを取り巻く環境変化に対応し、電気通信サービスの円滑な提供及びその利用者利益の確保のため、ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の整備、利用者に関する情報の適正な取扱いに係る制度の整備及び卸協議の適正性の確保に係る制度の整備等を行うものである。

本法律の各改正事項は有識者会議の報告書等を踏まえたものであり、政府において、令和4年3月4日に本法律の案を閣議決定し、第208回国会に提出した。その後、国会における審議を経て令和4年6月13日に本法律が成立し、同月17日に公布された。

本稿では、本法律の各改正事項に関する検討の経緯及び論点を紹介した上で、その概要について解説することとしたい。なお、本稿中意見にわたる部分は筆者らの個人的見解であることを予めお断りしておきたい。

2.ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の整備

2.1.背景及び論点

現在、デジタル化の進展により、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療等を可能とするブロードバンドサービスの利用は増加しており、ブロードバンドサービスは、国民生活を営む上で、重要な役割を担っている。今後も、我が国が目指す未来社会であるSociety 5.0時代を見据えるとともに、新型コロナウイルス感染症対策のための「新たな日常」を構築するため、ブロードバンドサービスは一層重要なものとなる。

テレワーク、遠隔教育、遠隔医療等は、現在、国民生活に不可欠な役割を果たしているところ、これらは、いずれも、隔地間で大容量の動画をリアルタイムかつ双方向でやりとりすることが必要となり、一定品質以上のブロードバンドサービスが利用可能であることを前提としている。そのため、一定品質以上のブロードバンドサービスも、今日では、国民生活に不可欠のものとなっていると考えられ、当該サービスの利用について、地理的格差が発生することは社会的に望ましくない。したがって、一定品質以上のブロードバンドサービスは、採算地域・不採算地域を問わず、あまねく日本全国における提供が確保されるべきものである。

ブロードバンドサービスのうち、有線ブロードバンドサービスについては、国費を含めた補助事業により、その提供のための施設整備が進められており、FTTH の未整備エリアの世帯数は令和3年度末時点で約17万世帯まで減少する見込みである一方、不採算地域においては、維持費が電気通信事業者の大きな負担となっている場合も多く、その提供の確保が課題となっている。

こうした中、総務省は、通信インフラの「整備」から「維持」へのフェーズ移行を念頭におき、ブロードバンド基盤の在り方について、制度面を中心に専門的かつ集中的な検討を行うため、「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会」1を令和2年4月より開催した。令和4年2月にとりまとめられた「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会 最終取りまとめ」では、一定のブロードバンドサービスを電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「事業法」という。)上の「基礎的電気通信役務」に位置付け、不採算地域におけるブロードバンドサービスの安定した提供を確保するための交付金制度を創設すること等が提言された。

2.2.改正の概要

本法律は、一定の高速度データ伝送電気通信役務(いわゆるブロードバンドサービス)を基礎的電気通信役務に位置付け、当該高速度データ伝送電気通信役務を提供する電気通信事業者に対する契約約款の届出義務、役務提供義務等の規定を整備するとともに、不採算地域で一定の高速度データ伝送電気通信役務を提供する電気通信事業者に対する交付金制度(当該交付金の費用は、高速度データ伝送電気通信役務を提供する他の電気通信事業者が応分に負担)を創設するものである。

図1.交付金制度の概要

(出典)総務省資料

2.2.1.基礎的電気通信役務への一定品質以上の高速度データ伝送電気通信役務の追加

デジタル化の進展等により、高速度データ伝送電気通信役務の重要性が増加している状況を踏まえ、(テレワーク、遠隔教育、遠隔医療等に必要な通信速度を安定的に確保可能なブロードバンドサービスとして)一定品質以上の高速度データ伝送電気通信役務を「第二号基礎的電気通信役務2」として基礎的電気通信役務に位置付けることとしている(改正後の事業法第7条第2号)。

2.2.2.第二号基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者に関する規律の整備

第二号基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者には、第二号基礎的電気通信役務の適切、公平かつ安定的な提供を確保するため、契約約款の届出義務(改正後の事業法第19条第1項)、役務提供義務(改正後の事業法第25条第2項)等、原則として、第一号基礎的電気通信役務と同様の規律を課す。ただし、第一号基礎的電気通信役務との利用状況や事業者間競争等の差異を踏まえ、当事者間で合意した場合の相対契約の締結を認める(改正後の事業法第19条第3項)等している。

なお、会計整理義務については、これまでの制度の運用状況等に鑑み、第一号基礎的電気通信役務を含めて基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者には課さないこととする。

2.2.3.第二号基礎的電気通信役務に係る交付金制度の整備

不採算地域において、第二号基礎的電気通信役務の提供に係る電気通信設備の維持費が電気通信事業者の負担となり、その提供の確保が課題となっている状況を踏まえ、第二号基礎的電気通信役務のあまねく日本全国における提供を確保するため、第一号基礎的電気通信役務の交付金制度を参考としつつ、不採算地域での第二号基礎的電気通信役務の提供に係る維持費用を支援する交付金制度を整備するものである。

(1)一般支援区域及び特別支援区域(合わせて以下「支援区域」という。)の指定

全国を一定の単位に分けた区域のうち、総務大臣が、

  • ・当該区域の収支が赤字と見込まれ、かつ、第二号基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者3が一以下の区域を「一般支援区域」に指定し(改正後の事業法第110条の2第1項)、
  • ・第二号基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者4が一以下の区域であって、当該区域で見込まれる収支の赤字が第二号基礎的電気通信役務の提供を確保することが著しく困難であると見込まれる区域又は一定の地理的条件(離島等)等に該当する区域を「特別支援区域」に指定することとしている5(改正後の事業法第110条の2第2項)。

(2)第二種適格電気通信事業者の指定

総務大臣は、その申請により、第二号基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者のうち、その第二号基礎的電気通信役務の業務区域の範囲に一以上の支援区域6を含むこと等の要件に該当する者を「第二種適格電気通信事業者7」に指定することができることとしている(改正後の事業法第110条の3第1項)。

また、総務大臣は、第二種適格電気通信事業者の指定の際に、併せて当該第二種適格電気通信事業者の第二号基礎的電気通信役務に係る業務区域の範囲に含まれる支援区域を、当該第二種適格電気通信事業者に係る支援区域(以下「担当支援区域」という。)として指定することとしている(改正後の事業法第110条の3第2項)。

(3)第二種交付金制度

支援機関の業務に、第二号基礎的電気通信役務に係る交付金(以下「第二種交付金8」という。)の交付に関する業務を追加するものとしている(改正後の事業法第107条第2号)。

具体的には、支援機関は、第二種適格電気通信事業者に対し、その指定された担当支援区域9に係る赤字見込額を(業務の非効率性を排除する方法等により)算定した上で、当該赤字見込額の一部に充てるための第二種交付金(その額等は総務大臣が認可)を交付する業務を行うこととする。この際、一般支援区域に係る第二種交付金の額は、当該算定の前年度における当該第二種適格電気通信事業者の第二号基礎的電気通信役務に係る実際の赤字額を上限とすることとしている(改正後の事業法第107条第2号)。

(4)第二種負担金制度

支援機関は、(3)の第二種交付金の交付に要する費用について、一定の事業規模以上の高速度データ伝送電気通信役務を提供する電気通信事業者から負担金(以下「第二種負担金10」という。)(その額等は総務大臣が認可)として徴収することを可能とし(改正後の事業法第110条の5第1項)、当該電気通信事業者には、当該負担金の支援機関への納付義務を課すこととしている(改正後の事業法第110条の5第2項で準用する第110条第4項)。

3.利用者に関する情報の適正な取扱いに係る制度の整備

3.1.特定利用者情報の適正な取扱い

3.1.1.背景及び論点

電気通信サービスは、国民生活や社会経済活動において重要な役割を果たしており、利用者が安心して利用でき、高い信頼性を有する電気通信サービスを確保することは、デジタル化やデジタルトランスフォメーションの推進にあたり、重要な基盤となるものである。一方、サイバー攻撃の一層の複雑化・巧妙化、国外への開発委託など経済活動のグローバル化の進展によるサプライチェーンリスクや外国の法的環境などが及ぼす影響等により、情報漏えい等のリスクが高まっている11

実際に、インターネットの利用に当たり不安を感じる又はどちらかといえば不安を感じる個人の割合は71.9%にのぼり、インターネット利用で感じる不安の内容からは「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」等が挙げられており、利用者が安心して電気通信サービスを利用できる環境を確保するため、電気通信サービスにおける利用者に関する情報が適正に取り扱われることが必要である。12

しかし、改正前の事業法における利用者に関する情報に係る規律としては、原則として、通信の秘密の保護(事業法第4条)、通信の秘密の漏えいが生じたときの報告義務(事業法第28条)、秘密の確保に支障があるときの業務改善命令(事業法第29条第1項第12号)等、通信の秘密に関する事後規制が設けられているに過ぎなかった。

こうした中で、総務省は、デジタル時代における安心・安全で信頼できる通信サービス・ネットワークの確保に向けて、電気通信事業者におけるデータの取扱い等に係るガバナンス確保の在り方を検証し、今後の対策の検討を行うため、「電気通信事業ガバナンス検討会」13を令和3年5月より開催した。令和4年2月にとりまとめられた「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書」では、利用者に関する情報の適正な取扱いを促進するための規律を新たに設けることが必要であり、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者に対して、利用者に関する一定の情報の取扱いに関する情報取扱規程の策定等を義務付けることが適当である旨結論付けられた。

3.1.2.改正の概要

本法律は、電気通信事業における利用者に関する情報の適正な取扱いを確保するため、改正後の事業法第27条の5から第27条の11までの規定を新たに設けている。利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者に対して事前規制を課すことにより、利用者に関する情報の適正な取扱いを確保するものである。

3.1.2.1 規律の具体的内容

(1)規律の対象とする者

規律の対象とする者は、改正後の事業法第27条の5の規定により、内容、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者として総務大臣により指定されたもの(以下「指定事業者」という。)としている。これは、利用者の利益に及ぼす影響が一定程度以下と推察される電気通信事業者による自由なビジネスを阻害しないための配慮も必要であることから、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者に限定して事前規制を課すこととしているためである。

(2)規律の対象となる情報

規律の対象となる情報は、利用者に関する情報であって、①通信の秘密に該当する情報又は②契約等する利用者を識別することができる情報のうち総務省令で定めるもの(ただし通信の秘密に該当する情報を除く。)(以下「特定利用者情報」という。)としている。②について、個人情報に限らなかったのは、電気通信事業には個人のみならず法人の利用者もいること、利用者が個人名でなくユーザー名等を登録して利用するサービスも多く、個人情報に該当しない利用者を識別することができる情報が取得されていることを踏まえたものである。

(3)規律の内容

指定事業者は、特定利用者情報の取扱いについて、①情報取扱規程の策定・届出(改正後の事業法第27条の6)、②情報取扱方針の策定・公表(改正後の事業法第27条の8)、③取扱状況の評価(改正後の事業法第27条の9)、④特定利用者情報統括管理者の選任・届出(改正後の事業法第27条の10)を行わなければならないとしている。

  • ①の情報取扱規程については、各指定事業者の特性に応じた取組を適切に確保することができるように、当該規程として策定すべき安全管理の方法等の基本的事項を法定したうえで、指定事業者自らが業務実態に応じて必要な取組を定め、当該規程の届出を義務付けることとしている。
  • ②の情報取扱方針については、特定利用者情報の取扱いの透明性を確保し、利用者が電気通信役務を受ける上で必要な事項を適切に把握できるよう、当該方針として策定すべき安全管理の概要等の基本的事項を法定し、当該方針の公表を義務付けることとしている。
  • ③の取扱状況の評価については、指定事業者に対し、特定利用者情報の取扱状況に関する評価及び当該評価結果を踏まえた情報取扱規程及び情報取扱方針の見直しを行うことを義務づけ、指定事業者におけるPDCAサイクルの実施を図ることとしている。
  • ④の特定利用者情報統括管理者については、特定利用者情報の取扱いを経営レベルで全体的かつ横断的に監督する責任と権限を有する者として、指定事業者に対し、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、利用者に関する情報の取扱いに関する一定の実務の経験を備える者のうちから選任及び届出を行うことを義務付けることとしている。

これらの規律の実効性を担保するため、情報取扱規程の変更命令や遵守命令(改正後の事業法第27条の7)、情報取扱方針の策定・公表義務の違反の業務改善命令(改正後の事業法第29条第2項)等が設けられている。

なお、改正前の事業法でも通信の秘密の漏えい等が生じた場合には、再発防止のため、総務大臣への報告義務を課しているが、指定事業者において特定利用者情報の漏えいがあった場合には、特定利用者情報のうち総務省令で定めるものの漏えいを報告の対象として新たに位置づけることとしている(改正後の事業法第28条第1項)。加えて、これまで、重大事故等の発生後に報告義務が課されていたが、重大事故等につながる「おそれ」があると考えられる事態についても新たに電気通信事業者に対して報告を求めることとしている(改正後の事業法第28条第2項)。これにより、事故にまで至らなかった事態についてもその実態把握や原因分析等を行うことができ、重大事故等の発生の未然防止や被害軽減に寄与することが期待される。

(4)事業法の規定の適用対象の拡大

利用者に関する情報を大量に有する者は改正前の事業法に定義される電気通信事業者のみではない。インターネットの発展等に伴い、改正前の事業法第164条第1項第3号に規定する電気通信事業(以下「第三号事業」という。)については、通信の秘密の保護等の規定を除いて、事業法の規定の適用の対象外とされているが、第三号事業であるにもかかわらず著しく利用者数が多く、届出等の対象となっている電気通信事業と同等又はそれ以上に電気通信役務の利用者に関する情報を取得・蓄積し得る第三号事業が出現している。

従来、事業法において、電気通信回線設備を設置する者は、我が国の通信ネットワークの構成全体に相当程度影響を及ぼすものであり、他の電気通信事業者のサービス提供の基盤となるインフラ設備を設置・運営する基幹的な事業を営む者に該当することから、電気通信事業者として位置づけられてきた。また、電気通信回線設備を設置しない者であっても、他人の通信を媒介する電気通信事業を営む者は、事業法創設当時(昭和59年)、社会経済的影響が大きいため、一定の規律が必要と考えられ、電気通信事業者として位置づけられてきた。電気通信回線設備を設置せずかつ他人の通信を媒介しない第三号事業については、事業法創設当時の技術等に鑑みれば、小規模なものしか想定されないか、特殊な形態のサービスであって、法の規律を課す社会的必要性が乏しいと考えられ、通信の秘密の保護等を除き、事業法の規定の適用の対象外とされてきた。

しかし、第三号事業における利用者数及び利用者に関する情報量の増大、社会経済活動における不可欠性の高まり、社会経済的影響力の高まり、また、これまでの事業法の規律の考え方14を十分に踏まえ、第三号事業のうち、大規模な検索サービス及びSNSについては、届出等の事業法の規定の適用対象とすることが適切である旨、「電気通信ガバナンス検討会 報告書」にて結論付けられた。これを踏まえ、検索情報電気通信役務(検索サービス)又は媒介相当電気通信役務(SNS)を提供する電気通信事業を第三号事業から除き、届出等の対象とすることとしている(改正後の事業法第164条第1項第3号ロ及びハ)。

3.2.利用者に関する情報の外部送信

3.2.1.背景及び論点

近年、ウェブサイトの閲覧やアプリの利用といった電気通信役務の利用の際に、ウェブサイトに設置されたタグやアプリに設置された情報収集モジュールなどのプログラムにより、利用者のスマートフォンやタブレットなど端末に記録された情報が、利用者の意思によらずにウェブサイト運営者やアプリ提供者などに送信される状況が生じている。こうして送信される情報には、Cookieなどの利用者を識別するための符号だけでなく、氏名などの個人情報や閲覧履歴、位置情報などの行動に関する情報などが幅広く含まれる。

こうした情報の送信に関しては、平成30年3月にはFacebookに登録された8,700万件の個人情報が米大統領選の選挙運動等に不適正に利用されていたことが報じられた事例や令和2年12月にウェブブラウザアプリが検索情報等を外部に送信している旨を指摘したブログが公表された事例などが生じており、適切な対応を行わなければ、安心して利用できる電気通信役務の確保が妨げられ、ひいては電気通信の健全な発達に支障を及ぼすことにもつながりかねない。しかしながら、こうした情報の送信は、不適正な電気通信事業の運営が引き起こしているとは必ずしも言えず、改正前の事業法第29条に基づく業務改善命令の対象となるか明確ではないことに加え、ウェブサイト運営者やアプリ提供者には、事業法に基づく登録又は届出を行った電気通信事業者だけでなく、事業法の適用を受けない第三号事業を営むことにより、事業法に基づく登録又は届出を行っていない者も多数含まれている。そのため、こうした事態に適切に対処する上で事業法における規定の整備が必要となる。

なお、利用者の端末に記録された情報の取扱いについては、以前より有識者会議において検討が行われており、「プラットフォームサービスに関する研究会 中間取りまとめ」15(令和3年9月)では、「電気通信事業法等における規律の内容・範囲等について、eプライバシー規則(案)の議論も参考にしつつ、・・・制度化に向けた検討を進めることが適当であると考えられる」とされ、「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書」では、「電気通信事業を営む者についても、利用者に対し電気通信役務を提供する際に、利用者の電気通信設備に記録された当該利用者に関する情報を利用者以外の者に外部送信を指令するための通信を行おうとするときは、原則として通知・公表を行い、もしくは利用者の同意を取得あるいはオプトアウト措置を提供することにより、利用者に対して確認の機会を与えることが確保できるようにすることが必要である」とされている。

図2.プラットフォーム化が進むメタバース(実際な流れ)

3.2.2.改正の概要

こうした背景や有識者会議における議論を踏まえ、また、事業法の目的である電気通信の健全な発達を実現する観点から、ウェブサイト運営者やアプリ提供者などの電気通信役務を提供する者が、利用者の端末を送信先としてタグや情報収集モジュールを起動させる指令などを送信する際に、当該電気通信役務の利用者に対して適切な確認の機会を付与するため、改正後の事業法第27条の12の規定の整備を行うこととしている。

3.2.2.1.規律の具体的内容

具体的には、電気通信事業者又は第三号事業を営む者が、その利用者に対し電気通信役務を提供する際に、当該利用者の電気通信設備を送信先とする情報送信指令通信(利用者の電気通信設備が有する情報送信機能(利用者の電気通信設備に記録された当該利用者に関する情報を当該利用者以外の者の電気通信設備に送信する機能をいう。)を起動する指令を与える電気通信の送信をいう。)を行おうとするときは、あらかじめ、当該情報送信指令通信が起動させる情報送信機能により送信されることとなる当該利用者に関する情報の内容などを当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置くことを求めることとしている。

3.2.2.2.規律の対象とする者

これまで情報送信指令通信に対する事業法上の規律はなく、本規定の施行に伴い情報送信指令通信を行おうとする電気通信事業者及び第三号事業を営む者は、新たに情報送信指令通信によって送信される利用者に関する情報の内容などを当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置くことが求められることとなる。他方、電気通信事業者及び第三号事業を営む者の中には、設立後間もない事業者や中小規模の事業者などが含まれており、そうした事業者については、直ちに利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置くための準備ができないおそれがある。そのため、設立後間もない事業者や中小規模の事業者などのように情報提供指令通信によって送信される利用者に関する情報の量が少ないなどの利用者の利益に及ぼす影響が少ない電気通信役務を提供する者を本規律の対象から除外する観点から、内容、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務を提供する者に規律の対象を限定することとしている。

3.2.2.3.規律の対象としない情報

電気通信役務を適正に表示するために必要な情報その他の電気通信役務を利用するために送信することが必要な情報や電気通信役務を提供する者が利用者に送信した識別符号については、送信しなければ適正に電気通信役務を利用することができないこと、使途が限定的であることといった理由から、情報の送信について利用者の判断を経る必要性が低いと考えられる。そのため、それらの情報については、送信されることについて利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置くことを要しないこととしている。

また、ウェブサイト運営者やアプリ提供者の中には、情報送信指令通信が起動させる情報送信機能により送信されることとなる利用者に関する情報の内容等を当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く方法ではなく、当該利用者の同意を取得する方法やオプトアウト措置の提供により確認の機会の付与を行っている者もいる。そうした者については、同意の取得やオプトアウト措置の提供を通じて利用者に確認の機会を付与していることになる。そのため、利用者が情報の送信に同意している情報や利用者がオプトアウト措置の適用を求めていない情報については、改めて利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置くことを要しないこととしている。

4.卸協議の適正性の確保に係る制度の整備

4.1.背景及び論点

電気通信事業者が電気通信役務の提供に当たって他の電気通信事業者の設備を利用する場合には、主に「接続」と「卸電気通信役務」(以下「卸役務」という。)による利用形態が存在し、近年、東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)の第一種指定電気通信設備を用いた光回線の卸役務(以下「光サービス卸」という。)や携帯大手3社(株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社をいう。)の第二種指定電気通信設備を用いてMVNO(電波の割当てを受けずに携帯電話サービスを提供する電気通信事業者をいう。)に提供される音声卸役務(携帯電話サービスのうち、音声伝送役務に係るものの卸役務。以下「モバイル音声卸役務」という。)等、「卸役務」の形態による提供が拡大している。

「卸役務」は、料金等の提供条件について厳格なルールが適用される「接続」と異なり、相対契約が基本であり、事業者間協議が実質的・活発に行われ、多様な事業者が創意工夫を発揮することで、市場全体としての競争が促進され、料金の低廉化やサービスの多様化が期待されるものである。

しかしながら、第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を用いた卸役務(以下「指定設備卸役務」という。)について、広く一般利用者が利用するサービスの提供のため多くの電気通信事業者に用いられており、電気通信事業者間の競争関係や市場に与える影響が大きくなってきているにもかかわらず、長期にわたり指定設備卸役務の料金が高止まりしていることが、指摘されていた。

指定設備卸役務の料金については、総務省において、「指定設備卸役務の卸料金の検証の運用に関するガイドライン」(令和2年9月)に基づく検証作業が実施されてきており、当該検証の後、光サービス卸やモバイル音声卸役務の料金の低廉化が一定程度進んだところであるが、本来は、有識者会合や総務省によるチェックや議論を待つことなく、事業者間協議における価格交渉等により、指定設備卸役務の料金の低廉化等が実現されるような環境が整備されることが望ましい。そのため、令和3年10月より「接続料の算定等に関する研究会」16(以下「研究会」という。)において、指定設備卸役務に関する事業者間協議(以下「卸協議」という。)の実態を把握するためのヒアリングを実施した結果、指定設備卸役務を提供する電気通信事業者(以下「指定設備卸役務提供事業者」という。)の意向が強く反映される状況にあり、指定設備卸役務提供事業者に交渉上の高い優位性があることが認められた。こうした課題を踏まえ、研究会では令和4年2月に、卸協議の適正性の確保に係る制度整備の方向性を取りまとめた。

この取りまとめでは、指定設備卸役務の提供について、引き続き相対協議を基本としつつも、卸協議を巡る交渉環境を改め、指定設備卸役務提供事業者の交渉上の優位性や指定設備卸役務提供事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性を是正し、より協議が実質的・活発に行われるための環境整備を図ることが必要であり、事業法の改正を行うことが適当とされたところである。

4.2.改正の概要

本法律は、指定設備卸役務提供事業者の交渉上の優位性や指定設備卸役務提供事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性を是正し、より卸協議が実質的・活発に行われるための環境整備を図るため、改正後の事業法第38条の2第2項では指定設備卸役務提供事業者に対して特定卸電気通信役務(指定設備卸役務のうち電気通信事業者間の適正な競争環境に及ぼす影響が少なくないもの。以下「特定卸役務」という。)の提供義務を課すとともに、同条第3項では指定設備卸役務提供事業者に対して特定卸役務に関する情報の提示義務を課すこととするほか、所要の措置を講じている。

4.2.1.特定卸役務の提供義務

(1)特定卸役務の提供義務を課す理由

指定設備卸役務のうち、特に、広く一般利用者が利用するサービス(FTTHサービス、携帯電話サービス)の提供のため多くの事業者に用いられる光サービス卸やモバイル音声卸役務については、事業者間の競争関係や市場に与える影響が大きいにもかかわらず、長期にわたりそれらの料金が高止まりしているとの指摘があった。

これは、改正前の事業法において、指定設備卸役務提供事業者には卸協議に応ずる義務がないことから、卸先事業者からの要望・提案は受領連絡のみで終わるケースがあるなど、基本的に卸先事業者の側から提案するような卸協議は成立せず、指定設備卸役務提供事業者が提案する料金その他の提供条件に従わざるを得ない状況があったためである。

こうした課題を踏まえ、卸役務は相対契約を基本としつつも、電気通信事業者間の適正な競争環境に及ぼす影響が少なくない特定卸役務を提供する指定設備卸役務提供事業者に対して、当該特定卸役務の提供を義務付けることとした。

(2)規定の内容

改正後の事業法第38条の2第2項では、指定設備卸役務提供事業者に対して、卸先事業者から特定卸役務の提供に関する協議の申入れがあった際、正当な理由がない限り、当該指定設備卸役務提供事業者の業務区域における当該特定卸役務の提供を拒んではならない旨を規定している。なお、特定卸役務の範囲については、細目的事項であることから、総務省令で定めることとしている。

また、改正後の事業法第39条において準用する同法第35条では、特定卸役務の提供義務の担保措置として、指定設備卸役務提供事業者が正当な理由なく特定卸役務の提供に関する契約の協議に応じなかった等の場合で、卸先事業者から申立てがあった際は、当該指定設備卸役務提供事業者に対して協議の開始又は再開を命ずる旨を規定している。

4.2.2.特定卸役務に関する情報の提示義務

(1)特定卸役務に関する情報の提示義務を課す理由

従来の卸協議においては、指定設備卸役務提供事業者が卸先事業者に対して提示する情報量の不足等があったため、卸先事業者の要望・提案が具体性を欠き、卸協議が不成立になる状況があった。

こうした指定設備卸役務提供事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性を是正するため、指定設備卸役務提供事業者に対し、卸先事業者からの要望に応じて特定卸役務に関する情報の提示を義務付けることとした。

(2)規定の内容

改正後の事業法第38条の2第3項では、指定設備卸役務提供事業者に対して、卸先事業者から特定卸役務の提供に関する契約の締結の申入れを受けた際、卸先事業者が負担すべき金額その他の提供の条件の提示時までに、卸先事業者がその提示と併せて当該金額の算定方法等協議の円滑化に資する事項の提示を求めたときは、正当な理由がない限りこれを拒んではならない旨を規定している。なお、提示義務の対象となる協議の円滑化に資する事項の具体的な内容については、細目的事項であることから、総務省令で定めることとしている。

また、改正後の事業法第38条の2第4項では、特定卸役務に関する情報の提示義務の担保措置として、指定設備卸役務提供事業者が特定卸役務に関する情報の提示義務に違反した場合、当該指定設備卸役務提供事業者に対して、公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる旨を規定している。

5.その他

5.1.認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会の業務に関する制度の整備

事業法第116条の2第2項に規定される認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会は、会員である電気通信事業者の委託を受けて、サイバー攻撃の送信元の電気通信設備に係る電気通信事業者に対し、送信型対電気通信設備サイバー攻撃又はそのおそれへの対処を求める通知を行うことや、通信履歴の電磁的記録を調査して送信型対電気通信設備サイバー攻撃の送信元の電気通信設備を合理的に特定するための調査及び研究を行い、それらの成果の電気通信事業者への普及を行うことを「送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処業務」として行っている。

近年複雑化・巧妙化が進むサイバー攻撃に対処するためには、サイバー攻撃が実際に行われ被害が生じる前に、サイバー攻撃の予兆となる行為を把握しこれに対応することが重要となってきている。そこで、本法律では、送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処業務の内容を定める規定を拡充し、認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会において、実際に攻撃がされた場合だけでなく、サイバー攻撃発生の予兆といえる行為がされた場合についても、通知業務や調査研究業務を行うこととする規定を設けることとしている。

改正後の事業法第116条の2第1項第1号ロが攻撃先設備探査の定義規定であり、同探査に該当する電気通信の送信の詳細については総務省令において定めることとしている。

5.2.第一種指定電気通信設備制度の整備

5.2.1.背景及び論点

第一種指定電気通信設備制度(事業法第33条)は、加入者回線を相当な規模で設置する電気通信事業者の加入者回線及びこれと一体として設置される電気通信設備を、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続が利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に欠くことのできない電気通信設備として総務大臣が指定できるもので、平成9年に導入された。

これは、第一種指定電気通信設備との接続が、他の電気通信事業者の事業展開上不可欠であり、利用者の利便の向上等に欠くことができないこと、さらに第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は接続協議において強い交渉力を有し、優位な地位に立つものとなっていることに鑑み、当該電気通信事業者に接続約款の作成やその総務大臣の認可、公表を義務付けているものである。

制度導入当時(平成9年)には、通信サービスの大半を占める電話トラヒックの約8割が同一都道府県内に終始していたことや、ネットワークは概ね都道府県を構成単位として形成され、それを前提として、接続は、都道府県単位が一般的であったことを踏まえ、県内通話市場におけるサービス競争を促進させることを目的に、全国の地域を分けて電気通信役務の利用状況及び都道府県の区域を勘案して総務省令で定める区域(実質的には都道府県の区域である。以下「単位指定区域」という。)ごとに加入者回線の設置割合を算定し、50%を超える場合には、当該加入者回線を設置する電気通信事業者について当該加入者回線及びこれと一体として設置する電気通信設備を指定することとされた。

他方、現在では、通信サービスの中心が電話からインターネットへ移行していること、これまで都道府県ごとに接続されていた電話のネットワークが、IP網への移行等に伴い、東京と大阪の2か所で接続することとなること、さらにインターネット接続についても、都道府県ごとの接続方式(PPPoE)から東京と大阪の2か所での接続が基本となる接続方式(IPoE)へ接続形態の主流が移りつつあること等、利用者のサービス利用や電気通信事業者の設備構成(ネットワーク構成、接続点)等に大きな環境変化が生じており、これらの変化を踏まえ、制度の在り方を見直す必要が生じていた。

5.2.2.改正の概要

(1)加入者回線の設置割合を算定する区域の見直し

音声通信・データ通信ともに、各社の交渉上の優位性の源泉となるネットワークは各社の業務区域単位で構築されていることを踏まえ、単位指定区域を都道府県単位から、各電気通信事業者の業務区域(加入者回線の設置区域)単位に改正する(改正後の事業法第33条第1項)。

(2)指定対象となる加入者回線以外の電気通信設備の見直し

固定電話網のIP網移行に伴ってNTT東日本が大阪に、NTT西日本が東京に設置する設備(IP音声用のゲートウェイルータ)について、他の電気通信事業者が不可避的に利用することを踏まえ、業務区域外であっても指定可能とするための規定の見直しを行う(改正後の事業法第33条第1項)。

6.おわりに

上述の改正事項について、本法律は、公布の日(令和4年6月17日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。

本法律の施行により、その目的とする電気通信役務の円滑な提供及びその利用者利益が確保されることを期待する。

Footnotes

1 ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/broadband_infrastructure/index.html

2 総務省令で固定の高速度データ伝送電気通信役務を規定予定(現状ではFTTH及びHFC方式を用いたCATVインターネットを想定)。また、改正前の事業法におけるアナログ電話等に係る基礎的電気通信役務は「第一号基礎的電気通信役務」と規定する。

3 当該区域で「Ⓐ一定規模以上の電気通信回線設備を設置」し、かつ、「Ⓑ一定期間継続して第二号基礎的電気通信役務を提供」している者に限る。

4 同上。

5 実際の基準としては、光ファイバ等の有線ブロードバンドについて、本法律の公布日以降に新たに整備が行われた地域や、本法律の公布日以降に公設公営・公設民営から民設民営への転換が図られた地域を指定することが想定される。

6 「Ⓐ一定規模以上の電気通信回線設備を設置」し、かつ他の第二種適格電気通信事業者が未指定の担当支援区域に限る。

7 改正前の事業法におけるアナログ電話等に係る適格電気通信事業者は「第一種適格電気通信事業者」と規定する。

8 改正前の事業法におけるアナログ電話等に係る交付金は「第一種交付金」と規定する。

9 Ⓑ「一定期間継続して第二号基礎的電気通信役務を提供」している者に限る。

10 改正前の事業法におけるアナログ電話等に係る負担金は「第一種負担金」と規定する。

11 例えば、LINE株式会社が提供するメッセージングサービス「LINE」は国内で約8,900万のユーザーに利用され(令和3年6月時点)、一部公共サービスにも利用されており、社会的な基盤を担っていると考えられるが、令和3年3月にはメッセージングサービスの日本ユーザーの個人情報(通報されたメッセージの内容を含む。)が中国法人でありLINE株式会社の業務再委託先であるLINE China社からアクセス可能であったことを問題視する報道がなされた。

12 総務省「令和3年通信利用動向調査」(令和4年5月)

13 電気通信事業ガバナンス検討会

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/sd_governance/index.html

14 検索サービスは、これまで第三号事業から除かれていたドメイン名電気通信役務と同様に、インターネットにおいて他人間の通信における送信先等出力(入力情報に対応したサイトのドメイン名等を出力)を行い、仮に当該機能が十分に機能しなければ、多くの利用者が様々な電気通信役務にアクセスすることが困難となる等、インターネット全体に影響を及ぼし、社会経済的影響が非常に大きく、様々な電気通信サービスにアクセスするための基盤的な役割を担うことから、届出等の事業法の規律の適用対象とすることとしている。また、事業法では、伝統的に隔地者間の通信の媒介を主たる規律の対象としていることを踏まえ、不特定多数の者がコミュニケーション等を行うプラットフォームを提供する実質的に他人の通信の媒介する第三号事業のうち、他人間の通信(特に他人間の通話・コミュニケーション)を実質的に媒介する電気通信役務を提供する電気通信事業を第三号事業から除くことが適当であり、SNSを届出等の事業法の規律の適用対象とすることとしている。

15 プラットフォームサービスに関する研究会

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/platform_service/index.html

16 接続料の算定等に関する研究会

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/access-charge_calculation/index.html

 
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